腹腔鏡下(ロボット支援下)膵頭十二指腸切除術

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腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術は2016年4月より「原則として脈管の合併切除及びリンパ節郭清切除を伴わないもの」に対して保険適応となりました。その後2020年には「リンパ節・神経叢郭清等を伴う腫瘍切除術」にも適応が拡大され、内視鏡手術用支援機器の使用(ロボット支援下手術)も保険収載されました。腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術の施設基準は、①膵臓手術を年間50例以上施行している事、②膵頭十二指腸切除術を年間20例以上施行している事、③腹腔鏡下膵切除術を20例以上実施した経験を有する医師が常勤する事となっています。当施設は施設基準を満たしており、保険診療にて腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術が可能です。またロボット支援下手術も積極的に施行しています。尚、手術の適応に付きましては責任者(武田)までご確認をお願いします。

膵頭十二指腸切除術とは

膵頭部(膵臓の右側部分)は十二指腸、胆管とつながっているため、この領域(下部胆管、膵頭部、十二指腸)に発生した腫瘍の切除を行う術式を膵頭十二指腸切除といいます(図1)。胃の出口、十二指腸、胆管、胆嚢、膵頭部の切除を行い、図のように4カ所の吻合を行います。消化器外科の分野では最も難しい手術の一つとされます。

図1 膵頭十二指腸切除術

図1 膵頭十二指腸切除術

腹腔鏡手術の進歩

腹腔鏡手術は傷が小さく体にやさしい手術として多くの術式に取り入れられてきました。一般的に手術時間は長くなりますが、出血量が減少し入院期間が短縮するといわれています。膵切除領域では腹腔鏡下膵体尾部切除が、2012年4月に「リンパ節郭清を伴わない手技」で先進医療から保険収載され、2016年4月に「周辺臓器及び脈管の合併切除を伴わないもの」へと適応拡大されました。さらに腹腔鏡下膵頭十二指腸切除が2016年4月に「脈管の合併切除及びリンパ節郭清切除を伴わないもの」に限り保険収載され、2020年には「リンパ節・神経叢郭清等を伴う腫瘍切除術」にも適応が拡大されました。更に腹腔鏡下膵体尾部切除と腹腔鏡下膵頭十二指腸切除のいずれに対しても内視鏡手術用支援機器の使用(ロボット支援下手術)も保険収載されました。

当院の肝胆膵外科グループでは2010年から積極的に腹腔鏡下手術を取り入れています。2023年4月までに、ロボット支援下切除117例を含む、腹腔鏡下肝切除術789例、腹腔鏡下膵体尾部切除術152例、腹腔鏡下膵頭十二指腸切除132例を行い、国内で有数の腹腔鏡下手術経験を持っています(図2

図2 ロボット支援下・腹腔鏡下・開腹膵切除 症例数
図2 ロボット支援下・腹腔鏡下・開腹膵切除 症例数

ロボット支援下膵頭十二指腸切除

前述のように膵頭十二指腸切除は高度な技術を要し、患者さんにとってはダメージの大きな手術です。そのような手術こそ、体にやさしい手術が求められると考えられます。腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術は、「膵臓に係る手術を年間50例以上」「膵頭十二指腸切除術を年間20例以上」「腹腔鏡下膵切除術を術者として20例以上実施した経験を有する常勤医師」などの厳しい施設基準のため、国内では限られた施設しか施行されていません。ロボット支援腹腔鏡下膵頭十二指腸切除は、同じ手術室内のコンソールから内視鏡支援機器を操作して行います(図3)。手術は腹壁にポートを挿入して行います(図4)。大きな手術創をつける事はありません。術者は拡大した3D画像を見ながら手術を行います。特に繊細な技術を必要とする、膵管空腸吻合(図5)、胆管空腸吻合(図6)を行う事が出来ます。

図3 ロボット支援腹腔鏡下膵頭十二指腸切除の様子

図3 ロボット支援腹腔鏡下膵頭十二指腸切除の様子

図4. ロボット支援腹腔鏡下膵頭十二指腸切除のポート配置

図4. ロボット支援腹腔鏡下膵頭十二指腸切除のポート配置

図5.ロボット支援腹腔鏡下膵頭十二指腸切除(膵管空腸吻合)

図5.ロボット支援腹腔鏡下膵頭十二指腸切除(膵管空腸吻合)

図6.ロボット支援腹腔鏡下膵頭十二指腸切除(肝管空腸吻合)

図6.ロボット支援腹腔鏡下膵頭十二指腸切除(肝管空腸吻合)

 

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