麻酔科

診療科の方針・特色

手術を安全に、術後の痛みは最小限に

麻酔科の役割

麻酔科の医師が患者さんと直接お話しさせていただく機会は限られますので、麻酔科医はみなさんにとって馴染みの薄い存在かもしれません。しかしながら当院のように高度な外科治療を数多く行っている施設では、習熟した麻酔科医を多数抱えることが患者さんの安全のために必須の条件となっています。2021年4月現在、関西労災病院麻酔科には18名の麻酔科医が在籍しており、そのうち11名が日本麻酔科学会・日本専門医機構認定専門医となっています。そのため時間のかかる大手術や複数の緊急手術にも柔軟に対応することができます。麻酔科医は手術中に麻酔をかけるだけでなく、安全に手術が遂行されるよう事前にリスク評価を行い適切な麻酔管理法を計画して、場合によっては術前から介入を行います。また術後の疼痛や合併症を最小限になるよう努めます。このように麻酔科は手術の前後も含めた周術期のスペシャリストとして高齢の患者さんや重度の合併症をお持ちの患者さんにも安心して手術を受けていただけるよう支えています。

麻酔の危険性について

麻酔は直接的な治療行為でないため、安全性について最大限の注意が求められます。一方で、麻酔に用いられる薬剤には呼吸を停止させる、臓器血流を低下させるなどの有害な作用があるのも事実です。また、意識が無い状態で発生した合併症は発見が遅れがちです。一般に重篤な併存疾患がある方やご高齢の患者さんほどリスクが高いと言われており、ASA(アメリカ麻酔科学会)が策定した危険度分類でリスクのカテゴリー分けをしています(下表参照)。
適切なリスク評価のため、問診票にはできる限り正確にお答えください。また、服薬指示や禁煙の順守などのご協力をお願いします。人的エラーも含めてリスクは完全にゼロにはなりませんが、少しでも安全性を高められるよう心掛けております。

超音波ガイド末梢神経ブロックのパイオニア

今から20年以上前、当科からの一本の研究論文が米国の専門誌に掲載されました。それまでは盲目的に行われていた腕神経叢ブロックを、リアルタイムに超音波画像を観察しながら行うことで高い精度で安全に施行できるという画期的な内容でした。それまでは経験を積んだ医師にしかできない熟練の技だったのが、研修医でも可能な当たり前の手技にしてしまったのです。そのパイオニア精神は現在も脈々と受け継がれており、様々な超音波ガイド末梢神経ブロックを施行することで手術後の痛みを和らげたり副作用の強い鎮痛薬の使用を避けることができています。


Retroclavicular block

⦅参考文献⦆Ultrasound-guided infraclavicular brachial plexus block: an alternative technique to anatomical landmark-guided approaches.
C Ootaki, H Hayashi, M Amano  Regional Anesthesia and Pain Medicine. 2000;25(6):600-4.

女性が輝く現場

当科の医師の7割が女性で、うち8割が育児と仕事を両立して働いており、昨今の医大受験における女性差別のニュースが別世界のことのようです。もちろん家族のサポートや所属員全体での助け合い、院内保育や病児保育といったシステム面の整備など多くの支えが必要ですが、女性医師が高い自覚とモチベーションをもって急性期医療の第一線で働き続けることは今後の社会のあり方としても大変重要なことだと考えます。

関連業務・教育・研究

手術時の麻酔以外で麻酔科医が関わる業務としては、ペインクリニック、集中治療、救命救急、緩和医療が挙げられます。当院では集中治療・救命救急部門は麻酔科とは別部門で独立しており直接関与していませんが、緊密に連携しています。ペインクリニックと緩和医療につきましては当院の急性期医療機関としての特性上、院内紹介のみとして対応させていただいております。

当院では日本専門医機構認定の麻酔科専門医研修プログラムを運営しております。 また初期研修医の麻酔科研修も行っていますが、上級医の監督下に麻酔業務に従事しています。もし初期研修医、後期研修医の対応に不安な点がございましたら、指導医に相談して欲しい旨、ご遠慮なくお伝えください。

患者さんに医学的な根拠に基づいた良質な医療を提供するうえで、臨床研究は欠かせないものです。当科で行う臨床研究は、診療上得られるデータを解析するような観察研究が主ですので、患者さんの治療経過に直接的な影響はありません。介入を伴う研究を行う場合には、院内の倫理委員会の承認を得たうえで事前に説明を行い、同意が得られた患者さんのみを対象とさせていただきます。いずれも厚生労働省の定める倫理指針に沿った形で行い、学会発表や論文投稿を行う場合にはプライバシーの保護に最大の配慮を行います。

●関西労災病院麻酔科専門研修プログラムについては、
「臨床研修医サイト」専攻医研修プログラム内容ページをご覧ください。

 

麻酔科学術業績 (PDFファイル)

 

スタッフ

上山 博史(うえやま ひろし)

部長

役職 副院長・部長
専門分野 産科麻酔
脳波
輸液
資格等 日本麻酔科学会麻酔科指導医・代議員・関西支部運営委員
日本専門医機構認定麻酔科専門医
医学博士(平成12年 大阪大学)
臨床研修指導医講習会修了

興津 賢太(おきつ けんた)

第二部長:興津 賢太

役職 第二部長
専門分野 麻酔全般
資格等 日本麻酔科学会麻酔科指導医            
日本専門医機構認定麻酔科専門医
日本小児麻酔学会小児麻酔認定医
日本医師会認定産業医
日本旅行医学会認定医
医学博士(平成30年 大阪大学)
緩和ケア研修修了

田村 岳士(たむら たけし)

副部長:田村 岳士

役職 副部長
専門分野 麻酔全般
資格等 日本麻酔科学会麻酔科専門医・指導医        
日本周術期経食道心エコー認定医
緩和ケア研修会修了

清中 さわみ(きよなか さわみ)

清中 さわみ

役職 副部長
専門分野 麻酔全般
資格等 日本麻酔科学会麻酔科指導医            
日本専門医機構認定麻酔科専門医
日本区域麻酔学会専門医
日本医師会認定産業医
臨床研修指導医講習会修了

古出 萌(こいで もえ)

古出 萌

役職 副部長
専門分野 麻酔全般・集中治療
資格等 日本専門医機構認定麻酔科専門医          
日本集中治療医学会集中治療専門医
医学博士(令和3年 大阪大学)

医員   田中 みちる(たなか みちる) 卒業年度:平成22年(緩和ケア研修会 修了)

      中野 一菜(なかの かずな) 卒業年度:平成23年

      山内 千奈(やまうち かずな) 卒業年度:平成24年

      稲垣 佳苗(いながき かなえ) 卒業年度:平成25年

      河野 悠(こうの ゆう) 卒業年度:平成25年(緩和ケア研修会 修了)

      中村 藍(なかむら あい) 卒業年度:平成25年

      中島 友理奈(なかじま ゆりな) 卒業年度:平成26年

      加藤 裕実子(かとう ゆみこ) 卒業年度:平成27年

      不二樹 有花(ふじき ゆうか) 卒業年度:平成27年

      坂本 茉理(さかもと まり) 卒業年度:平成30年

      劉 嘉叡(りゅう かえい) 卒業年度:平成30年(緩和ケア研修会 修了)

レジデント 大村 理子(おおむら りこ) 卒業年度:令和4年(緩和ケア研修会 修了)

      山本 智大(やまもと ともひろ) 卒業年度:令和4年(緩和ケア研修会 修了)

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