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第4回 心臓血管センターを語る

座談会メンバーの写真

平成19年11月公開
(※ 取材対象者及び内容は公開当時のものです)

心臓内科系疾患に対する救命施設として、CCU(冠動脈集中治療室)は不可欠なものとなっています。関西労災病院は2007年6月29日、CCUをはじめPOST-CCU、一般病棟を一体化した「心臓血管センター」を開設し、先進的な高度医療体制を実現しています。
今回は『「心臓血管センター」を語る』と題して、同センターの設立経緯から現状、今後の方向性などについて座談会を行いました。

座談会
奥 謙 (院長)(写真中央)
南都伸介(循環器科部長)(写真左側)
柴田利彦(心臓血管外科部長)(写真右側)

心臓血管治療に欠かせないCCU

――まずはCCUを取り巻く現況から。

南都部長:

庭でCCUは1962年に米国で創設され、急性心筋梗塞の治療に大きな変革をもたらしました。従来は4-5割あった死亡率が、3割程度にまで低下。60年代から70年代初頭には、世界の主要病院でCCU導入が進みました。今日では重症の心臓疾患を扱ううえで、欠かせない治療ユニットとなっています。近年では、急性心筋梗塞の死亡率は一割をきりますが、CCUを含め重症心疾患の治療環境が整ったことの証であると思います。
このCCUで重篤な患者さんを受け入れ、容態が快方に向かうとともにPOST-CCU、一般病棟へと移っていただく。その全体が当院の「心臓血管センター」で、ここでは循環器科と心臓血管外科の垣根を低くし、相互の領域を重ね合わせながら治療にあたっています。

柴田部長:

私はかねてよりCCUの“C”とは何なのかという疑問があります。一般的にはCoronary Care Unit、つまり最初の“C”はCoronary(冠状動脈の)をさしていますが、将来的にはCardiac Care Unit あるいはCirculation Care Unit(心臓・循環器集中治療室)という名称に変わってもいいのではないかという思いがあります。

心臓血管センターの開設にあたって

――関西労災病院への導入については。

奥院長:

座談会の様子当院ではこれまで、HCU(ハイケアユニット)によって重症の患者さんに対応してきました。しかし、患者数の増加などニーズの高まりを考慮し、この度CCU導入に踏み切りました。導入に際しては、2006年2月に約10人からなるワーキンググループを設置。これが有効に機能し、2007年4月着工、6月末開設というスピーディな展開となりました。
結果として、重症の患者さんの受け入れ体制が整い、POST-CCUや一般病棟を併せ持つことで効率的な治療・看護を実現。患者さんの在院日数も短くなりました。病院全体の病床数を結果的には減らすこととなりましたが、センター開設に踏み切った意義は大きいと考えています。

南都部長:

院長から在院日数短縮の話がでましたが、POST-CCUを超急性期の状態からある程度落ち着く段階までのバッファ(緩衝装置)として活用することも可能で、ベッドの稼働率は確実に高まっています。

柴田部長:

以前はHCUで集中治療したのち、一般病棟に移るという流れでした。POST-CCUがなかったため、患者さんはどうしてもHCU(集中治療室)に長く留まることになったわけです。センター導入以降は、集中治療室(CCU)からの離床が1-2日短くなったのではないでしょうか。

南都部長:

たしかに効率的な治療が可能になっています。病床数ということでは当院は従来670床でしたが、今回のセンター導入で総病床数は642床となりました。心臓血管センターの病床数は73床です。うちCCUが8床、POST-CCUが12床で計20床。さらにセンター内の一般病棟(北4階病棟)が53床です。病院全体に占めるセンター内の病床数の割合を考えると、国内でもトップレベルの規模といえるでしょう。また、センター内のCCU、POST-CCU,一般病棟という異なる機能を有する病棟が同じフロアーにあるという構造が、効率的な治療を可能にする一つの要因ともなっています。国内でも特徴的な構造であると言えると思います。

医療スタッフへのプラス効果

――医療現場での導入効果は。

柴田部長:

座談会の様子2スペース的には格段に広くなり、医療機器類の配置や看護師の動きもスムーズになっています。なかでも私がこだわったのは天井の高さです。以前に比べ5cm高くなったわけですが、この差が想像以上に大きい。閉塞感がなくなりました。スタッフの間では、緊迫した現場にあってなお、患者さんに明るく対応ができるとの声もあがっています。その意味では、スタッフの精神面で大きなプラス効果があったと思います。

南都部長:

カンファレンスルームなど付属施設も充実し、ゆとりができましたね。

奥院長:

スタッフからそうした声があがっているのは嬉しいかぎりです。私としては、オーバーワークになっていないかという点も気になりますが。

南都部長:

現在、心臓血管センターのスタッフは内科医が16人、心臓血管外科医が8人。看護師についてはCCUが30人、POST-CCUが17人、一般病棟(北4階病棟)が28人です。レジデント(研修医)を含め、人員的には充分な配置をしていただきました。チーム医療によって治療・看護にあたるため、仕事の調整が可能となり、特定の個人に慢性的な負担がかかるとういうことはありませんね。

奥院長:

医療スタッフの確保は、どの病院でも大きな課題です。この心臓血管センターにこれだけの医療スタッフが集まったというのは、やはりここに魅力があったということではないでしょうか。


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