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眼科

眼科診療2022-2023

特色・方針

当眼科では、加齢によって生じる白内障、放置していると大きく視覚を障害する網膜硝子体疾患、目の表面にかかわる角結膜疾患、さらに70歳以上では10人に一人が罹患しているといわれる緑内障、と幅広い疾患に対し、点眼・レーザー・手術などによる治療を行っています。なかでも特に力を入れているのは白内障と網膜硝子体疾患です。(手術は月曜・木曜に行っております。)

図1視覚の成立(図1)

主な対象疾患と診療内容

1 白内障

白内障は加齢に伴い水晶体が混濁する疾患です。水晶体はカメラにおけるレンズの役割をしているものですが、白内障ではそのレンズが混濁して(曇って)しまうため、物がかすんで見える、まぶしい、視力低下などの症状をきたします。

手術方法

治療には手術が行われます。超音波乳化吸引術を用いた小切開手術(切開幅2.4mm程度)により混濁した水晶体を摘出し、その代わりとなる人工のレンズ(眼内レンズ)を移植します。

移植する眼内レンズの種類により術後の見え方に差が出てまいりますので、手術前に主治医からゆっくりと説明を聞いていただき、患者さんそれぞれの生活スタイルに合わせた眼内レンズを提案させていただきます。
我が国においてもっとも使用頻度の高い単焦点眼内レンズを中心に、角膜乱視を伴った症例に対する乱視矯正眼内レンズ(トーリックレンズ)や、眼鏡はできるだけかけたくないが費用も抑えたいという方に適した保険適応のある低加入度数分節型眼内レンズ(レンティスコンフォート®)も採用しております。(適応症例は診察や検査の結果判断されますので、主治医にご確認ください。白内障選定医療は行っておりません。)

また外傷後やチン氏帯脆弱例、水晶体脱臼、眼内レンズ脱臼など通常の白内障手術では対応できないような難症例に対する強膜内固定術も数多く行っております。

基本的に1泊2日入院となりますが、患者さんのご都合や体調に合わせて、主治医と相談の上、0泊1日(日帰り手術)や2泊3日(前日入院)なども可能です。両眼手術をご希望の方は約2週間の間隔をあけて行います。

2 網膜硝子体疾患

網膜は目の一番奥にある組織で、眼底といわれることもあります。光を感じる視細胞とよばれる神経細胞が集まってできた膜状の組織です。カメラで例えるとフィルムに当たります。網膜の病気になると、黒いゴミがたくさん飛んでいるように見える、視野が欠ける、視力が低下する、歪んで見える などの症状がみられます。
糖尿病網膜症や網膜剥離、硝子体出血、網膜静脈閉塞症、黄斑円孔、黄斑上膜、黄斑浮腫、加齢黄斑変性など、数多くの疾患がここに含まれます。


図2   網膜静脈閉塞症


図3   網膜剥離 術前


術後

治療方法

この疾患群に対する治療法としては、硝子体手術、網膜復位術といった手術治療、網膜光凝固術といったレーザー治療、最近話題となることの多い抗VEGF薬などの硝子体内薬物注射治療などがあります。

① 硝子体手術

当院では、器具の種類の豊富さ、硝子体切除効率や器具の剛性の点を考慮し、もっともバランスのとれていると考えられる25ゲージ硝子体手術方式を採用しております。直径が約0.5mm(25ゲージ)のマイクロカニューレを使用することで、極小切開手術を行います。これにより手術時間の短縮、手術操作の簡略化が可能となり、術後の創傷治癒反応や炎症も非常に軽微なものになります。白内障を合併しておられる方は、基本的に網膜疾患と白内障の同時手術を行います。

② 薬物注射

加齢黄斑変性や糖尿病、網膜静脈閉塞症などの症例に対し、抗VEGF薬の硝子体注射やステロイド薬のテノン嚢下注射を行います。注射により、滲出性変化を抑制し、視力の改善をはかります。完全に治癒することが少ない疾患群のため、再発することも多く、繰り返し注射が必要となるケースがほとんどです。

③ 網膜光凝固術

糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症などの虚血性疾患や網膜裂孔(網膜に穴があく)などの症例に対し、外来にて行われます。レーザー光線で網膜を焼くことで、病気の進行を食い止めます。複数回の治療が必要となることもあります。

3 角膜疾患

角膜とはいわゆる黒目の部分になります。当院で対応可能な角膜疾患は、翼状片や角膜感染症、再発性角膜上皮びらん、ドライアイなどになります。高度の円錐角膜や難治の角膜潰瘍、角膜移植など外科的治療が必要な場合は、適宜大阪大学や兵庫医科大学との連携を行って治療にあたります。(火曜日のみですが、大阪大学角膜グループ医師による診察があります)

4 緑内障

緑内障とは視神経の障害により進行性に視野欠損をきたす疾患です。眼圧を下降させることが唯一効果を認められている治療となります。治療により眼圧を下げたとしても、失った視野障害が回復することはありませんが、適切な治療により病状の進行を遅らせ、失明を予防することができます。近年は多様な点眼薬が開発され、点眼治療のみで十分な眼圧下降が得られる方が多いのですが、コントロール不良の患者に関しては、近隣の緑内障専門医や大阪大学、兵庫医科大学との連携で治療にあたります。

5 外眼部疾患

まぶたの病気などがここに含まれます。眼瞼下垂や内反症といった疾患に関しては、当院形成外科と連携して治療にあたります。

診療実績(2022年度)

新入院患者数 777人
外来新患数 1,067人
入院患者数(年間在院ベース) 1,692人
外来患者数(年間延べ) 7,047人
手術件数(手術室内) 800人

ご来院の皆様へ

画像ファイリングシステムにより、眼底写真や検査結果を患者さんご自身やご家族の方と一緒にみていただきながらの丁寧な説明を心がけております。病気のこと、治療法のことなど、よく説明をお聞きいただき、納得をして治療を受けていただくことが可能です。ご不明な点があれば、お気軽に主治医までご相談ください。
また、病気の種類により、瞳孔を広げて(散瞳)、各種眼科検査をすることがあります。痛みはありませんが、点眼後2~3時間から半日ほどの間、「ぼやける」、「まぶしい」などの症状が続くことがありますので、眼科受診の際は、お車やバイクなどを運転しての来院はお控えください。(帰り道に代わりに運転してくださる方が同伴しておられる場合は問題ありません。)
なお、外来待ち時間などで多大なご迷惑をおかけすることも多いかと存じますが、質の高い医療を提供できるようスタッフ一同努力してまいりますので、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

地域連携医療機関の先生方へ

病気の種類により、散瞳検査をすることがありますので、眼科へ紹介される際は、お車やバイクなどを運転しての来院はお控えくださいますよう、患者様に一言お声がけをお願いいたします。
地域医療機関の先生方のご期待に沿えるよう診療に取り組んでまいります。これからも関労眼科をよろしくお願いいたします。

眼科学術業績 [1] (PDFファイル)

スタッフ

中田 亙(なかた こう)

眼科部長:中田 亙

役職 部長
専門分野 白内障
網膜硝子体疾患
資格等 日本眼科学会眼科専門医
日本網膜硝子体学会
臨床研修指導医養成講習会修了
江口 麻美(えぐち まみ)
役職 医員
専門分野 白内障
網膜硝子体疾患
資格等 日本専門医機構認定眼科専門医
岡橋 英里香(おかはし えりか)
役職 医員
専門分野 眼科一般
白内障

レジデント 平井 恵理(ひらい えり)緩和ケア研修会 修了


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