第4回 キャリア開発重視の看護師教育

平成21年7月公開

(※ 取材対象者及び内容は公開当時のものです)

関西労災病院(以下:関労)は看護師の教育・研修を積極的に行っています。高度化・複雑化する医療現場への対応とともに、各看護師のキャリアアップ要請に応えるためのものです。今回は看護部の木谷恵副部長、弘岡貴子認定看護師(がん化学療法看護)、松村啓子看護師(北7階)に話を聞き、その内容をまとめました。

看護部 : 教育研修制度

全国に先駆け専門教育を導入

看護師木谷:関労ではクリニカルラダーで教育を行っており、ラダーⅡ以上の看護師に対して、リソースナースによる専門領域の教育・研修制度が充実しています。これが当病院の大きな特徴です。
ラダーは看護の実践能力や管理・教育能力、倫理を高めるための教育制度です。これとは別に、リソースナースらの知識や技術を活かし、各専門領域で年間計40回程度の講座(1講座90分)を開催し、受講生が看護実践に必要を思われるものを自由に選択できるような教育制度としています。

弘岡:当病院にはリソースナースが12分野15人います。これだけの人数を抱えているため、いろいろなことを学ぶことができます。例えば、がん看護領域だけでも化学療法から緩和ケア、乳がん・リンパ浮腫など広範囲な専門分野をカバー。そのため、専門的であると同時に包括的な教育プログラムを組むことができます。

木谷木谷:リソースナースの支援については、病院の方針と関連させ病院全体として積極的に支援する体制で、看護師の専門教育に力を入れてきました。これは早い時期での取り組みです。リソースナースの知識や技術の活用に対して理解があり、組織として専門教育をバックアップする姿勢があります。資格取得後に現場に戻ってくれば、勉強した内容を活かせる体制や施設も整っています。
今年度から、機構全体でも専門看護師・認定看護師の資格や資格継続のための支援が充実しました。
また、保健師・助産師・看護師法が改正されたことによって、看護研修でリソースナースが活躍出来る場がますます増えると思います。これらのことは、今後、資格取得をめざす看護師にとっても、これは大きな励みになるでしょう。

専門研修が看護現場をサポート

弘岡弘岡:リソースナースの役割には大きく3つあります。看護の実践、指導、相談です。私も看護現場での実践に加え、講座等による集合教育、さらに病棟ラウンド時に個別の相談に応じるようにしています。そうすることで、教育面と実践面がうまく結びついていくように心がけています。

松岡:私は看護師になって整形外科で4年勤務したあと、泌尿器科に移り3年が経ちました。異動があった当初は、専門分野の違いから戸惑いがあったのは確かです。そこで独自にマニュアル等を読んで勉強するとともに、院内研修に参加しました。専門分野の研修については、これまで2年間講座を受けてきました。昨年度は計9回、講座を受講しています。講座では知識はもちろんのこと、実践的な技術もプログラムに組み込まれていて、ずいぶん役に立ちました。たとえば、抗がん剤からの曝露を予防するための点滴更新の仕方など、すぐに実践に活かせる内容でした。

木谷:異動で新しい分野を担当すると、看護師としてのキャリアは積んでいても、その分野では新人です。新たに学ばなければならない知識やスキルもたくさんあり、そこに、リソースナースがさまざまな支援をしていただけることは、大きな力になります。又、研修に参加したことで、いつでも相談できる環境ができるのは現場で直接看護を行っているスタッフには心強いです。また、リソースナースによる専門的な教育は、スタッフが専門看護師や認定看護師にチャレンジしようという意欲に繋がると思います。

地域からの患者さんの受け入れ体制

弘岡:私はがん化学療法看護の認定看護師になって7年目です。資格取得のきっかけは、医療の高度化という時代背景に加え、当時担当していた分野の専門知識を高めたいという私自身の思いがありました。

松岡松岡:私も看護師として1つの分野を深く勉強したいという気持ちはあります。同時に、患者さんの全身をトータルに看護できるようになりたい、という思いもあります。関労の教育・研修ではその両方を兼ね備えています。これを現場に活かすことで、看護を円滑に行うのはもちろん、医師や他の看護師への提案など積極的な活動ができるようになりました。

木谷:病院内に専門的な教育体制がなければ、自分で勤務時間をやりくりしながら、費用を払って外部で教育を受けなければなりません。それを思えば、病院内での教育体制の充実はキャリアを積むうえで大きなメリットになるはずです。
関労が看護師の専門教育に力を入れているのは、一つに看護師全体の知識や技術の底上げという意味があります。さらにはリソースナースの活躍の場を増やすことで、高度な技術や知識を持った看護師のモチベーション維持という効果もあります。ジェネラリストとスペシャリストが1つのチームとして機能し、より質の高い看護を展開しています。

(2009.6談)

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