第6回 酸素療法ワーキンググループの活動と看護部の支援

平成23年6月公開
(※ 取材対象者の所属及び内容は平成23年6月取材当時のものです)

関西労災病院の看護師による「酸素療法ワーキンググループ」(以下:WG)が、2010年3月から1年間、マニュアルづくりや院内研修会などの活動を展開しました。
活動は酸素投与方法に関する院内基準をつくり、安全かつ適切な医療行為を徹底させることを目的としたもの。参加メンバーが所属する担当病棟内はもちろん、看護部全体への波及効果もありました。
9名の看護師が中心となって、院内全体の看護ケアに取り組み、患者さんの安全な酸素投与につなげ大きな成果を得ることができたWGの活動。
今回はその活動内容と、看護部がその取り組みをどのようにサポートしたのかをご紹介します。

看護部の佐野恵子副部長、友政淳子急性・重症患者看護専門看護師(ICU)、
七條純江看護師(ICU)、石田雅人看護師(北8)に取材しました。

酸素療法とWG立ち上げの経緯

佐野恵子副部長

佐野恵子副部長

酸素療法は、高い濃度の酸素を投与することで、低酸素血症の改善と予防を目的とするもの。実施する場合は、酸素療法を必要とする病態を理解し、それに応じた酸素投与方法や酸素濃度調節などが必要となります。理解が不十分であったり、処置等が不適切であれば、生体機能や細胞に障害を及ぼし、インシデントにつながるケースもあります。

WGの発足も、友政看護師と城戸集中ケア認定看護師が酸素療法に関する相談を受けたことがきっかけとなりました。気管切開を受けた患者さんのインスピロンネブライザーのチューブ内に、痰が固くこびりつくというものでした。
こうした事態を避けるため、適切な酸素投与方法について院内基準をつくり、これを周知徹底させることとなりました。酸素療法は以前から医療現場で行われてきたものだけに、かえって盲点となっていた面があります。あらためてここに焦点をあてることで、医療現場に注意を促すという目的もありました。

WG発足にあたっては、まず看護部に企画書を提出。部内でWG参加者を募り、9人でスタートしました。2010年3月の第1回ミーティングを皮切りに、その後1年間で計13回のミーティングを行いました。

エビデンスに基づくマニュアル作成

WGの活動は、酸素療法のマニュアルづくりを中心に進められました。総論は石田看護師が中心となって担当、低流量システムは七條看護師ほか内科病棟の看護師が担当、高流量システムは脳外科および外科の看護師が担当しました。

七條純江看護師

七條純江看護師

担当者はそれぞれ文献にあたりながら、エビデンス(科学的根拠)に基づくマニュアル原稿を作成。ミーティングごとに各担当者がプレゼンテーションを行い、参加メンバーによる議論を重ね、完成度を高めていきました。回を重ねるごとに発言も活発になり、酸素療法に関するメンバーのスキルも高まりました。

石田雅人看護師

石田雅人看護師

WGに参加した看護師はほとんどが中堅クラスで、その活動は看護部のサポートを受けて部内にも波及し、新人看護師をはじめ看護部全体のボトムアップにも寄与しました。
佐野恵子副部長は「部署ごとに自主的な活動が広がるのが見えた。看護師長会でWGの活動を随時報告していたので、各師長からWGメンバーにねぎらいの言葉をかけてもらえたことは、モチベーションの維持につながった。また看護師だけでなく医師にもWGの活動を報告していたので、完成した院内基準を周知徹底させる点で大きな役割を果たした。」と話します。友政看護師は「病院組織の中の渡り方、連絡の仕方、活動の仕方を教えてもらえた。忙しい中でもマニュアルを確認してもらえ、サポートしてもらえたことが自信につながった。」と振り返ります。

酸素療法マニュアルの発展的維持

酸素療法マニュアル

酸素療法マニュアル

酸素療法マニュアル

2011年2月には、できあがったマニュアルに基づき、全職員を対象とした研修会を2度開催。看護師のみならず医師、リハビリテーション科や事務部門も含め院内に周知。このほか医局会で医師を対象にした研修会も開催。マニュアルは、麻酔科の臨床研修医の指導にも採用。
1年間という期限を守り計画通りにやり遂げたWGメンバーの活動は、他の専門看護師や認定看護師といったリソースナースにも、大きな影響を与えました。WGは1年で初期の目標を達成し、活動を終了。酸素療法マニュアルを中長期的に維持していくうえで、今後は新WGをつくり、人工呼吸器を使った場合の事例などを付加していく予定です。これは問題点の洗いだしからスタートするため、これまで以上に現場に立脚した問題意識が必要となります。

個々のキャリア開発と同時に、最適な医療環境をつくりあげていくために、WGはさらにステップアップした活動へとつながっています。そしてすでにその活動が始まっています。

関西ろうさい病院看護部では、このように個々の活動を組織の活動へと展開できるよう組織運営のノウハウも含め助言や支援を行い、教育体制と合わせて看護のレベルアップ、スキルアップ、キャリアアップをサポートしています。

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