- 関西ろうさい病院(兵庫県尼崎市)地域医療支援病院・がん診療連携拠点病院 - https://www.kansaih.johas.go.jp -
しびれ・痛み外来
脳神経外科では、脳由来の疾患に加えて脊髄、末梢神経由来の疾患も積極的に診療・手術を含む加療を行っています。様々な神経疾患を包括的に診療できるように、2024年8月より専門外来として、「しびれ・痛み外来」を開設いたしました。
しびれや痛みは脳のみならず脊髄を含む幅広い疾患が原因で起こり得ます。しびれ・痛み外来では脳神経外科専門医および脊髄外科専門医の資格を持つ医師が診療にあたっています。
脳腫瘍、脳神経の圧迫によって起こる三叉神経痛、後頭神経痛や、脳出血、脳梗塞などの脳血管障害、またはそれらの後に起きる脳卒中後疼痛や、脊髄損傷によってもアロディニアなどのしびれや痛みを引き起こすことがあります。
さらに、頚椎から腰椎に至るまでの椎間板ヘルニア、脊柱菅狭窄症、椎間孔狭窄症など脊髄・神経根の圧迫によってもしびれや痛みは引き起こされます。
他にも、頭蓋頚椎移行部から腰髄、馬尾神経に起こり得る脊髄腫瘍、キアリ奇形、脊髄空洞症、二分脊椎、くも膜嚢胞などでもしびれ、痛みを呈することがあります。
内頚動脈・椎骨動脈解離や、脳・脊髄に起きる動静脈奇形や硬膜動静脈瘻、特発性硬膜外血腫などによってもしびれや痛みが引き起こされることがあります。
ビタミン欠乏、糖尿病、帯状疱疹などの色々な疾患が原因となって起きる単発性/多発性ニューロパチーや、ギラン・バレー症候群、神経炎などの炎症・免疫性疾患や、末梢神経の圧迫によって起きる胸郭出口症候群、手根管症候群、肘部管症候群、殿皮神経障害、梨状筋症候群、外側大腿皮神経障害、総腓骨神経障害、足根管症候群などがあります。
手足の血管が細くなり、血流が悪くなることでしびれや痛みの原因になることがあります。虚血性心疾患のサインとして出現する場合もあります。
頭部打撲後しばらくしてから発症する慢性硬膜下血腫でもしびれを呈することがあります。
また、骨粗鬆症の方に多く見られる椎体圧迫骨折(“いつの間にか骨折”と呼ばれることもあります)や化膿性脊椎炎などの感染によって脊椎椎体が崩れてしまい、隣接している脊髄が圧迫されるとしびれや痛みが出現することがあります。
他にも、頭蓋底陥入症、環軸椎亜脱臼、首下がり症候群、脊椎のアライメント(背骨の並び)の不良、変性側弯症、分離症、すべり症、椎間関節障害、仙腸関節障害などによっても腰痛、臀部痛、下肢痛やしびれを引き起こすことがあります。
さらに、後縦靱帯骨化症(OPLL)や黄色靭帯骨化症などの靭帯の異常によってもしびれや痛みが起きることがあります。
治療前に、まず正確な診断を行うことが重要で、外来での詳細な問診、診察に加えて各種検査を組み合わせて診断を行っています。
治療にあたっては、薬物療法、各種ブロック注射、脊髄刺激療法(Spinal Cord Stimulation; SCS)、椎間板ヘルニアに対する椎間板内酵素注入療法に加え、様々な手法を用いた手術を行っています。
脊髄刺激療法とは、脊髄に硬膜外から微弱な電流を流して刺激することで、痛みを和らげる外科的な治療のひとつです。 脊髄損傷や脳卒中後に起こる、薬物療法や神経ブロックなどでも効果が得られない神経障害性疼痛、虚血痛に有効となっており、がんに関達する様々な神経障害痛に対しても有効例が報告されています。
さらに最近の治療の流れとして、他院で脊柱菅狭窄症や変性側弯症などに対して手術加療を受けたが、上肢、腰、下肢の痛み、しびれが良くならなかった場合や、高齢者、様々な理由で全身麻酔が難しい場合に除圧術や固定術を行わずにSCSが行われる例が増えてきています。
治療の流れとして、まずは刺激電極を挿入して試験刺激(トライアル)を行って、ご自身で効果を確認していただきます。 もし、試験刺激で効果が感じられない場合や治療が不要になった場合は、刺激電極を除去して元の状態に戻すことができます。 試験刺激(トライアル)で効果が感じられた場合は、皮下に刺激装置を植え込みます。 トライアル、刺激装置植え込みのいずれも局所麻酔で行うことが可能です。
患者さんの生活スタイルに合わせた複数の設定が可能で、痛みの変化に伴いご自身で刺激の調整が可能です。 ご興味やご希望がある方は一度ご相談ください。
神経の専門家であり外科医でもある我々は手術を含む様々な治療の中からそれぞれの患者さんにとって最も良いと思われる治療法を提案させていただきます。
手術については脳神経外科専門医および脊髄外科認定医・指導医が行います。
さらに、従来の各種手術法に加えて、2023年より整形外科と共同で脊椎内視鏡センターを立ち上げ、積極的に取り組んでいます。個々の患者さんの状態に合わせて出来る限り低侵襲な手術を心がけています。
脊椎内視鏡センターのご紹介 [2]
また、必要に応じて他科へご紹介し、連携を取りながら治療を行います。
しびれや痛みを引き起こす疾患は非常に多岐に渡りますが、治療まで一刻を争う急性期のものから外来通院しながら治療をおこなっていくものまで様々です。何かお困りのことがあれば一度ご相談ください。
脳神経外科 金曜日 午後
URL to article: https://www.kansaih.johas.go.jp/kakuka/shinryo_list/kakuka09/shibireitami.html
URLs in this post:
[1] Image: https://www.kansaih.johas.go.jp/wp-content/uploads/2024/08/tuikanbankouso2.jpg
[2] 脊椎内視鏡センターのご紹介: https://www.kansaih.johas.go.jp/kakuka/center_list/spine-endoscope.html
Click here to print.
Copyright © 2014 関西労災病院. All rights reserved.