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レントゲンでは見えない早期肺がん(CT検診の重要性)①

導入が待たれるCT検診

 現在、日本人の死亡原因の1位は「がん」であり、その中で死亡数が最も多いがんが「肺がん」です。日本では一般住民に対する年1回の胸部X線撮影による肺がん検診が実施されていますが、アメリカにおいては、米国予防医療専門委員会が、2004 年に推奨レベルⅠ(証拠不十分なレベル)と評価しており、我が国とは異なった判断をしています。胸部X線撮影では、骨や横隔膜、心臓などと重なる部分の読影に限界があるため、早期の小さな肺がんを見つけることができないからです

 これらの発見に威力を発揮するのがCTによる検診ですが、厚生労働省は、「現時点において、CT検診は死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分であり、対策型検診として実施することは勧められない」と評価しています(※)。

 しかし、2011年米国国立がん研究所が、55~74歳のヘビースモーカー(喫煙歴20本/日×30年以上)53,454名を対象に、CTとX線の2種類の検診方法で肺がん死亡率を比較した結果、CTによる検診を受けたグループの肺がん死亡率が約20%減少し、全死亡(肺がん以外の原因も含めた死亡)も7%減少していたことを発表すると、そのわずか4日後、オランダで開催中であった第14回世界肺がん学会は、喫煙者に対する低線量CT検診を推奨する緊急声明を採択しました。その後、全世界でCT検診を推進する動きが急速に強まってきました。日本でも低線量CTによる肺がん検診が始められていますが、これらはまだ行政によるものではなく、任意の検診として急速に普及しています。今後、公費によるCT検診の普及が望まれますが、そのためには費用の問題や非喫煙者はどうするかなど、解決すべき課題がまだまだあるようです。

※厚生労働省がん研究助成金「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班による“有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン(” 2006)

 

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