放射線科

高度先進医療の担い手として

放射線科は診断科と治療科の2つの部門に大別されます。放射線診断科では、 CTや消化管透視装置等のX線機器やMRI(核磁気共鳴診断装置)などを用いた撮影と画像診断業務、これらの機器を用いて画像誘導下に患者さんの肉体的負担の少ない治療を行う低侵襲性治療(IVR:インターベンショナルラジオロジー)を担当しています。

放射線治療科では、さまざまな悪性腫瘍の放射線治療をおこなっており、当院が位置づけされている地域のがんセンターとしての重要な一角を担っています。

核医学診断科では、放射性医薬品を用いた画像診断を行っており、機能画像を利用した画像診断を担当しています。

放射線診断科

最高機能の機器を設置:320列マルチスライスCTと3テスラMRI装置

当院放射線診断科の特徴としては、常に最新かつハイエンドの機器を導入し、これらを操作するスタッフについても、スペシャリストを配置していることです。

320列マルチスライスCTはわずか0.5秒で320枚ものCT画像を撮影できる最新型の装置です。これにより心臓の冠動脈や脳血管、大動脈などの3D 画像がより早く、より鮮明に撮影できるようになり、特に循環器、脳神経外科の領域の診断には非常に有用な画像が得られるようになりました。


320列CT

320列CTによる3D画像(心臓の冠動脈)
3.0T のMRI 装置は、従来のMRI 装置の磁場を強力にしたもので、特に脳神経外科、整形外科の領域で今までに無い鮮明な画像が得られます。また従来の装置では得られなかった新しい画像を撮る事も可能となりました。

3.0TMRI

MRIの画像(脳と脳血管)

<撮影部門>

各種一般撮影のほか3テスラMRI、320列マルチスライスCTなど、トップクラスの最新装置を備えています。また今年度は最新の血管撮影装置も増設いたしました。悪性腫瘍に集まる放射性同位元素を体内に投与して全身の腫瘍の有無を一度に検査するPET検査は、人間ドックのオプシ ョンとしても受け付ており好評を得ています。

<画像診断部門>

各領域に経験豊富な専門家を配置し、核医学検査や血管系以外の低侵襲性治療(IVR治療)や特殊撮影の施行を含めた質の高い画像診断を行っています。また地域の医療施設からの画像診断の依頼にも迅速に対応できるよう努めています。

診療実績(2016.1 – 2016.12)
血管造影 9,523件
透視検査 1,041件
CT 検査人数 29,242人
MRI 検査人数 10,307人
2016年IVR件数(2016.1 – 2016.12)

<血管内治療部門>

カテーテルを用いた血管内治療をはじめとする低侵襲性治療(IVR治療)は局所麻酔下で行うため、患者さんに負担の少ない「人にやさしい治療」です。手術に比べて負担の少ないIVR治療は各診療科の治療の選択肢を拡げると共に、手術不能な疾患や手術に至る時間的余裕の無い救命救急の治療に役立ちます。また、IVR治療では侵襲は少ないですが、結果は外科手術に匹敵する良好な治療成果を出しているものもあります。平成25年も夜間救急を含め300例以上の低侵襲性治療を施行しており、阪神間でも大学病院以外では突出した症例数となっています。

放射線治療科

がんの放射線治療と他治療との組み合わせ

放射線治療は、部位は頭から足まで、年齢は小児から高齢者まで、病期は根治可能な早期がんから症状改善目的の進行がんまで、守備範囲が広いのが特徴です。高齢や心・肺・肝・腎・血液の併存疾患のため、手術や化学療法が不可能でも放射線治療は可能な場合があります。一方で放射線治療に手術や化学療法をうまく組み合わせると、それぞれの治療を単独で行うよりも治療成績が良くなることが多くのがんで明らかになってきました。

関西ろうさい病院がんセンターでは科の枠を超えた連携により、手術、化学療法、放射線治療、緩和医療の長所を組み合わせた総合的ながん治療に取り組んでいます。また、がん以外の併存疾患に対しても、総合病院の利点を活かし、院内の循環器内科、腎臓内科、糖尿病内科などのサポートを受けながらがん治療を行っています。

治療前・治療後

コンピュータ技術を活かした高精度放射線治療

関西ろうさい病院の放射線治療の基本は1-2mm厚の微細CTデータに基づいた3次元治療計画です。病変の形にくり抜いたビームを多方向から撃ちこむようにコンピュータ上でビーム配列を決定します。このような照射法は3Dコンフォーマル照射(3DCRT)と呼ばれています。

7方向治療 計画・実際

5cm以下の比較的小さい頭・肺・肝のがん病変で重要臓器に接していない場合には、多方向から1点に集めた強力なビームを使って3~5回の超短期間で照射を終える方法があり、定位放射線治療(SRT)と呼ばれています。

脳腫瘍・肺がんの治療

これらの高精度放射線治療でがんをねらい撃ちにできるようになった結果、副作用を減らしながら同時に治療成績を上げることが可能になりました。

放射線治療センターをリニューアルしました

平成26年3月のがんセンター棟完成に伴い、放射線治療センターをがんセンター棟1階に移転しました。リニューアルした放射線治療センターには、治療計画用CTとして4D(4次元) CTシミュレータ(シーメンス社Definition AS) 1台、放射線治療装置として新型リニアック(バリアン社 trueBEAM) 2台を導入しました。

4D CTシミュレータは肺、肝、膵、腎、胃など呼吸性移動の大きい臓器に対し、呼吸位相の異なるCTを8-12相同時に撮影できるほか、CTの動画 (4次元CT)を作成して呼吸によるがんの動きを正確に把握することが可能です。

新リニアックのtrueBEAM(トゥルービーム)は、これまで行ってきた3Dコンフォーマル照射(3DCRT)、定位放射線治療(SRT)に加えて、強度変調放射線治療(IMRT)と、治療時間を大幅に短縮した回転IMRT(VMAT)が可能です。2台とも位置確認用のCT(コーンビームCT)撮影機能を備えており、毎回照射直前の位置確認画像で基準位置からのずれが最小になるように補正することで、当てもらしのない正確な放射線治療が行えます(イメージガイド放射線治療)。

2台のtrueBEAMは基本的には同じ装置ですが、1号機は将来的に全身照射にも対応できるように治療室を広めに設計し、2号機は小さいがん病変に正確に照射することを想定して患者さんの体のねじれに対応した6軸ロボット寝台とExacTrac(イグザクトラック) 画像追跡システムを装備しました。

関西ろうさい病院
がんセンター棟

放射線治療センター
受付と診察室

4D CTシミュレータ
(Definition AS)

新リニアック trueBEAM(トゥルービーム)1号機

新リニアック trueBEAM(トゥルービーム)2号機

保険診療で回転IMRT(VMAT)を行っています

平成26年11月に施設承認を受け、現在、保険診療で回転IMRT(VMAT)を行っています。
強度変調放射線治療(IMRT)は「放射線を当てたくない重要臓器」を避け、「放射線で治したいがん」を選んで当てる放射線治療技術です。前立腺がんでは直腸を避けたIMRTにより副作用の直腸出血が1/4に減ることが報告されています。咽頭がんではだ液腺を避けたIMRTにより治療後2年以降の口の渇きが減ることが報告されています。

前立腺がんの従来の照射 直腸を避けたIMRT
前立腺がんの従来の照射(A)と直腸を避けたIMRT(B)

咽頭がんの従来の照射 だ液腺を避けたIMRT
咽頭がんの従来の照射(A)とだ液腺を避けたIMRT(B)

回転IMRT(VMAT)は従来のIMRTの発展形です。従来のIMRTでは固定した5-7方向からの各ビームに強弱をつけていましたが、回転IMRTではビームを出しながら装置が回転し、角度ごとにビームに強弱をつけます。関西ろうさい病院のtrueBEAMでは角度が2度ごとに約180方向(1回転)、または約360方向(2回転)から照射しています。

従来のIMRTは治療時間が長い(7-15分)のが難点でしたが、回転IMRTになって治療時間が大幅に短縮(1.5-3分)しました。また、より複雑な形状のがん病変にフィットするように照射範囲をコントロールできるようになり、放射線治療の可能性が広がりました。速くて正確な照射を保険診療で行うことで、より多くの患者さんに質の高い放射線治療を提供していきたいと考えています。

前立腺がん術後再発のVMAT 頸部リンパ節転移のVMAT
前立腺がん術後再発のVMAT       頸部リンパ節転移のVMAT

骨盤リンパ節転移のVMAT 脳腫瘍のVMAT
骨盤リンパ節転移のVMAT        脳腫瘍のVMAT

治療スタッフ

最新の治療装置を設置しさえすれば高精度放射線治療が可能になるわけではありません。経験を積んだ放射線治療専門医が患者さんの状態と治療目的を理解して過不足ない治療計画を作成する必要があります。治療計画がどれだけ完全でも装置が適切に調整され、照射が正確に行われなければ期待された効果は得られません。がん患者さんでは看護師による毎日のケアも治療の重要な要素です。

関西ろうさい病院ではリニアック担当の放射線治療専門医2名、ガンマナイフ担当の専従医師1名、治療専従技師7名、医学物理士1名、治療専従看護師2名の全職種で経験のある常勤スタッフを配置しており、週2日非常勤の大阪大学大学院の医師2名と合わせて15名のスタッフでチーム医療を行っています。

患者さんが納得できるインフォームドコンセントを心がけているほか、女性の患者さんには女性技師による対応を可能にするなど、技術面と精神面の両方で患者さんが安心して質の高い放射線治療を受けられる体制づくりを心がけています。

診療実績

リニアック新患者数の推移(2012年~2016年)

リニアック治療人数(2016年関西労災病)

(注) リニアック新患者数のみ、ガンマナイフによる治療患者数は除く

放射線治療のながれ
  1. 医師の診察、画像検査、血液検査などにより、病変の範囲を判断します。
  2. 固定具を作成し、治療を受けるのと同じ姿勢で単純CTを撮影します(30分)。
  3. 医師による治療計画の作成後、医学物理士と技師により線量測定などの検証作業が行われます(1〜7日)。
  4. 1回目の照射を始める前にイメージガイドによる基準位置の決定と皮膚へのマーキングをします(30分)。
  5. 土・日・祝日以外の毎日、通院または入院で照射治療を続けます(15分×1〜8週間)。
  • 照射開始までに治療内容の説明と本人の同意(文書への署名)が必要です。
  • 照射回数は3〜4回(定位放射線治療)から5〜40回(3Dコンフォーマル照射、IMRT)まで病状により大きく異なります。医師の診察により、最終的な照射回数を決定します。
受診方法

関西ろうさい病院ホームページの「医療連携」 内にある「紹介・予約 (前方支援部門 : 地域医療室)」ページから、【診療情報提供書】FAX用紙をダウンロードしてください。
紹介元医療機関にて必要項目をご記入(担当医は「放射線治療科 外来担当医あて」、受診希望日は「翌日以降の火・水・木曜日のいずれか」)のうえ、関西ろうさい病院 地域医療室(Fax: 06-6416-1785)までFAXでご連絡お願いします。
関西ろうさい病院 地域医療室から紹介元医療機関あてにFAXで受診日時を返信します。
【診療情報提供書】、【予約回答書】、【健康保険被保険者証】と、紹介元医療機関の検査結果(フィルム、血液結果、病理結果、CD-Rなど)を持参のうえ、関西ろうさい病院の1階 初診再診受付へお越しください。

核医学診断科

核医学検査(RI検査)は、病巣を特異的に抽出する放射性医薬品(アイソトープで標識した化合物)を用い、疾患の存在診断ならびに重症度評価を行うもので、機能診断法として診療に貢献しています。(1)PET検査(ポジトロンエミッショントモグラフィ)と(2)SPECT検査(シングルフォトンエミッショントモグラフィ)に大別されます。

<PET検査>

当院では、放射性医薬品としてF-18FDG(フルオロデオキシグルコース)を用いるPET検査(PET/CT装置を利用)が利用できます。本検査は、悪性腫瘍(癌)の診療(早期診断、病巣部位とその拡がり・転移の観察、病期の判定、治療効果の評価、再発の診断)に極めて有効な方法です。当院はがん診療連携拠点病院として地域医療への貢献が強く期待されていますが、本検査はその重要な一翼を担っています。頭頸部癌、肺癌、乳癌、消化器癌、悪性リンパ腫、婦人科癌、皮膚癌などの診療にこれまで積極的に利用されてきましたが、2010年4月からは、早期胃癌を除く全ての悪性腫瘍、悪性リンパ腫の診療に保健適応が認められるようになり、検査依頼が増加してきています。2012年4月には、心サルコイドーシスにおける炎症部位診断にも利用できるようになりました。これらに呼応して、近隣医療機関からの検査依頼が増加しつつありますが、医療連携総合センター(地域医療室)に受付窓口を設け、十分に対応できるよう体制を整えております。また、癌のスクリーニング(健診)を目的とした依頼も、人間ドックを運営する健康診断センターをその窓口として受け付けています。

PET-CT検査予約システムについて

PET-CT検査をご依頼される先生方へ

<SPECT検査>

当院では多くの検査を網羅していますが、代表的なものは(1)負荷心筋血流シンチグラフィによる心筋虚血の診断、(2)骨シンチグラフィによる骨病変の診断、(3)脳血流シンチグラフィによる脳循環障害、認知症の診断、(4)肺血流シンチグラフィによる肺血栓塞栓症の診断、(5)レノグラムによる分腎機能評価などです。また、2013年9月にドーパミントランスポーターに対する放射線医薬品が認可されており、パーキンソン症候群やレビー小体型認知症など、振戦症状の鑑別、認知症の鑑別に有用とされています。当科ではこの薬剤を使用した検査が可能であり、SPECT検査についても、近隣医療機関からは医療連携総合センター(地域医療室)を介して検査を受け付けています。

PET-CT運用開始について詳細はこちら

       ▲PET画像            ▲PET-CT画像

▲PET-CT装置:シーメンス社製biograph 16
  PET装置と16列マルチスライスCTによる複合機
  PETは4mm幅で撮像

▲SPECT装置:GE社 Optima NM/CT 640
吸収補正用の low dose(管電流 10~30mA)CTを備えたSPECT/CT複合機。シンチグラムとCT画像の融合が可能。

▲SPECT装置:GE社 Ventri
心臓専用2検出器型ガンマカメラ。撮像視野は限られるが、感度が高く撮像時間が短縮できる。

診療実績(2015年度)

PET検査件数(依頼科別)

外科 336
内科 167
耳鼻咽喉科 105
呼吸器外科 89
産婦人科 74
口腔外科 41
泌尿器科 29
皮膚科 32
地域医療室 24
その他 24
人間ドック 66
合計 987

シンチグラフィ検査件数(部位・検査種別)

心筋 557
282
215
センチネル 167
レノグラム 58
ガリウム 33
その他 35
合計 1,347

放射線科学術業績 (PDFファイル)

中央放射線部学術業績 (PDFファイル)

スタッフ

<放射線診断科>

渡邉 均(わたなべ ひとし)

第2部長:渡邉 均

役職 放射線科部長
放射線診断科部長
資格等 日本医学放射線学会 放射線診断専門医

三上 恒治(みかみ こうじ)

三上 恒治

役職 第二放射線診断科部長
資格等 日本医学放射線学会 放射線診断専門医
日本IVR学会 専門医
日本脈管学会 専門医

岸本 陽督(きしもと はるよし)

dr03

役職 第三放射線診断科部長
資格等 日本医学放射線学会 放射線診断専門医

伊藤 康志(いとう やすし)

伊藤 康志

役職 第四放射線診断科部長
資格等 日本医学放射線学会 放射線診断専門医
PET核医学認定医
医学博士

 

<放射線治療科>

香川 一史(かがわ かずふみ)

部長:香川 一史

役職 放射線治療科部長
専門分野 がんの放射線治療
資格等 日本医学放射線学会 放射線治療専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
第1種放射線取扱主任者
医学博士
緩和ケア研修会 修了

木場 愛子(こば あいこ)

放射線治療科医師:木場 愛子

役職 放射線治療科医師
専門分野 がんの放射線治療
資格等 日本医学放射線学会 放射線科専門医
マンモグラフィ読影医
緩和ケア研修会 修了

他 医師1名 (ガンマナイフ担当)

 

<核医学診断科>

河田 修治(かわた しゅうじ)

副部長:河田 修治

役職 核医学診断科部長
資格等 日本医学放射線学会 放射線診断専門医
日本核医学会 専門医
日本核医学会 PET核医学認定医
日本IVR学会 専門医
医学博士

 

<放射線科>

鳥巣 健二(とりす けんじ)

技師長:鳥巣 健二

役職 中央放射線部長(技師長)
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