心臓血管外科

ひとりひとりの患者さんに最適な治療法を

1982年より心臓血管外科の診療を開始、2007年心臓血管センターが開設され循環器内科と連携したチーム医療を行っています。

冠動脈疾患では、循環器内科との合同カンファレンスを行い、ひとりひとりの患者さんにつき冠動脈バイパス術かカテーテル治療か、または両者を組み合わせたハイブリッド手術のいずれが最適かと見極めています。冠動脈バイパス術では、ほとんどの手術で人工心肺使用または使用せずに心拍動下冠動脈バイパス術を行っています。また、ご高齢の患者さんや透析の患者さん、担癌患者さんでは、できるだけ手術の侵襲を少なくするために、最低限の本数のバイパス手術を行い、残存した狭窄病変にはカテーテル治療を併用するハイブリッド治療を行っています。

弁膜症では、慢性心不全の患者さんも少なくなく、ご高齢の患者さんや透析患者さんなどリスクの高い患者さんでは循環器内科と相談し最適の手術方法を選択し、術後のADLを損なわないよう、きめ細かいリハビリにより、早期離床、肺合併症の予防などに努めています。

疾患別では、大動脈弁狭窄症の患者さんが多く、高度狭窄でかつ症状を伴う場合には急速に悪化することがあるためできるだけ早期の手術を行うようにしています。ご高齢、低心機能、低肺機能、心臓手術の既往など通常の大動脈弁置換術ではきわめてリスクが高いと判断される患者さんの場合には、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR=タバ)の方が望ましい場合もあります。(経カテーテル的大動脈弁植込み術を示すTAVI=タビという言い方もありますがこれらは実質同じものです)。通常の大動脈弁置換術では開胸し、人工心肺を用いて心臓を止めて行いますがTAVRでは人工弁を装着したカテーテルを用いて大動脈弁を置換する手術です。2013年より保険の適応となり、基準を満たした認定施設でのみ施行されています(2016年3月18日現在全国94施設)。現在は適応条件があり、すべての患者さんが適応になるわけではありませんが、TAVRの安全性が確立され、使用するデバイスの改良に伴い年々適応範囲は拡大しています。当院は現在認定施設ではありませんが、将来は認定施設になれるように条件を整えてTAVR開始に備えています。当科は大阪大学心臓血管外科の関連施設であり、TAVRの適応患者さんであると判断した場合や患者さまさんがTAVRをご希望され、適応条件を満たされていると考えられた場合には、当科より大阪大学に連絡し、スムーズに治療を受けて頂けるようにしております。

TAVRの増加に伴い、2016年4月より毎週水曜日に溝口医長による大動脈弁狭窄症専門外来を開設しております。TAVRに関するご相談のある患者さん、地域の先生方には、お気軽にご相談して頂けますと幸いです。一方、僧帽弁閉鎖不全症では、心機能を温存する目的で可能な限り自己弁を温存した弁形成術を目標にしています。また、リスクが高く、僧帽弁の逆流の再発が危惧される場合には、弁置換術を行う場合もあります。

大動脈瘤の治療法は近年、最も進歩した分野の一つであります。当院では2007年12月より循環器内科主導で腹部大動脈瘤に対する血管内治療であるステントグラフト内挿術(EVAR)を開始致しました。2014年10月より胸部大動脈に対するステントグラフト内挿術(TEVAR)も開始しております。ステントグラフト内挿術は、開腹術や開胸術に比べ患者さんの身体への負担が少なく年々増加傾向にあります。当院では、循環器内科によるカテーテル操作と心臓血管外科による血管の剥離やバイパス術などを適宜組み合わせ高度な技術を要する血管内治療にも積極的に取り組んできております。また、従来の手術にステントグラフトを併用することで、手術により身体の負担を軽減するような手術も取り入れております。

胸部大動脈瘤

胸部ステントグラフト治療後 (Debranching TEVAR)

術後のCT画像ですが、ごらんのように大動脈瘤への血流は遮断でき、パイパス血管も問題なく流れております。

2016年1月最新のハイブリッド手術室が完成しました。これにより従来より更に安全、確実、迅速に血管内治療を行うことができるようになりました。この結果、使用する造影剤、被曝線量も従来より少なくすることができました。

ハイブリッド手術室

ハイブリッド手術室での胸部大動脈瘤手術

ハイブリッド手術について詳しくはこちら

また、当科では、医学士と工学修士を併せ持つ白川医長が中心となりCTや心エコーのデータより最新の3Dプリンタを用いて心臓血管立体模型を作成し手術前のシミュレーションを可能にする研究を行っています。特に僧帽弁形成術や大動脈手術では非常に有用です。本研究内容の詳細は、日本心臓血管3次元モデル研究会(http://www.jsc3d.com/)をご参照下さい。

心臓立体モデルを用いた術前評価方法について

今後も、当院で行える最大限の治療を行いつつ、更に高度先進医療が必要な患者さんには、大阪大学を始めとした専門機関と連携をとり、ひとりひとりの患者さん、ご家族に最適の治療を提供して参りたいと存じます。

手術実績

胸部大動脈瘤

腹部大動脈瘤

心臓・大血管手術
2013年 2014年 2015年
先天性 1 2 2
弁膜症 24 32 36
冠動脈疾患 29 40 34
胸部大動脈瘤 2 16 32
腹部大動脈瘤 29 48 61
その他の心臓手術 1 6 5
86 144 170

心臓血管外科学術業績 (PDFファイル)

スタッフ

吉龍 正雄(よしたつ まさお)

部長:吉龍 正雄

役職 部長
資格等 心臓血管外科修練指導者・専門医
日本心臓血管外科学会 国際会員
日本外科学会 外科専門医
植込型補助人工心臓実施医
医学博士

溝口 裕規(みぞぐち ひろき)

役職 医長
資格等 心臓血管外科専門医
日本外科学会 外科専門医
腹部大動脈ステントグラフトExcluder実施医

白川 岳(しらかわ たかし)

役職 医長
資格等 日本外科学会 外科専門医
腹部大動脈ステントグラフトExcluder実施医

» 心臓血管外科 外来担当表
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