アップルウォッチで心房細動を見つける – 関西ろうさい病院(兵庫県尼崎市)地域医療支援病院・がん診療連携拠点病院
独立行政法人 労働者健康安全機構 関西ろうさい病院循環器内科

アップルウォッチで心房細動を見つける

2021年にアップルウォッチとiPhoneを使った心房細動検出機能が、家庭用医療機器として厚生労働省から承認を受けました。関西労災病院でもアップルウォッチによって心房細動が見つかる方が増えています。尼崎・西宮に限らず、神戸や大阪からも広く患者さんにお越しいただいております。ここでは、アップルウォッチを使った心房細動の見つけ方について説明させていただきます。

 

アップルウォッチ(および類似の腕時計型デバイス)の心房細動検出はふたつの機能をうまく使い合わせて行います(図1)。
一つは光学容積脈波測定PPG(photoplethysmography)というもので、時計の背面から光を皮膚に当ててその反射光を調べることで、皮膚にある血管の膨らみ具合がわかります。血管は心臓が拍動するたびに広がったり縮んだりするのですが、アップルウォッチはこれを測定して心拍(正確には脈拍)を検出します。

図1 アップルウォッチが心房細動を検出するために用いる二つの計測機能

(図1) アップルウォッチが心房細動を検出するために用いる二つの計測機能。脈波計測は光を皮膚にあてて皮下の血管の脈動を調べる。装着者は腕時計をしているだけで定期的に脈拍のチェックを受けることができる。心電図は装着者が装着している腕と反対の指で時計を触ることで計測可能。心電図によって心房細動の診断が可能となる。

 

心房細動では「不規則な心拍リズム」が検出されたという通知によって装着者に知らされます(図2)。

脈波計測による「不規則な心拍」通知 (図2) 脈波計測による「不規則な心拍」通知。これを受けて心電図計測を行う。

 

もうひとつは心電計です。時計の背面にある電極が装着している腕に接触し、そして側面にある電極に反対側の指で触れることで、上半身を流れる電流を検出します。仕組みは病院で記録する心電図と同じで、心房細動の診断も多くの場合可能です(図3)。ただし少しでも計測している腕が動いてしまうと判読できなくなってしまいますので、「腕時計のベルトをしっかりと巻く」「腕を膝や机において安定させる」「座って落ち着いて記録する」などの工夫が大切です。

(図3)心電図計測とその結果通知

(図3) 心電図計測とその結果通知

 

心房細動の見つけ方には二つのパターンがあります(図4)。「動悸などの症状」を感じた時に、心電図を取ることで心房細動が発見できます。また「不規則な心拍リズム」通知を受けて心電図を記録することで症状の乏しい心房細動も見逃しにくくなります。

(図4)心房細動の検出パターン

(図4) 心房細動の検出には、「不規則な心拍」通知を受けて心電図を記録するパターンと動悸などの「不快な症状を自覚」して心電図を記録するパターンがある。


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