高度石灰化病変に対するRotablatorを用いたカテーテル治療

はじめに

本稿では高度石灰化病変に対するカテーテル治療についてご紹介させて頂きます。

カテーテル治療の大敵である「高度石灰化」

冠動脈の狭窄に対するカテーテル治療を行う上で最も重要なことの一つが、ステント(冠動脈の中に留置する金網)をしっかりと拡張することです。十分な拡張が得られないと、ステント血栓症という致死的な合併症やステント留置部位が再度狭くなる再狭窄のリスクが高くなります。通常の病変であればバルーン(風船)で拡張することによって、ステントを十分に拡張することができますが、動脈硬化が進み石灰化が強くなった病変では、バルーンだけでは十分な拡張を得ることができません。カテーテル治療時に使用する血管内超音波の機械では、石灰化の部分は白く検出されますが、全周性の高度石灰化病変は図1のように見ることができます。このような病変に対しては、単にバルーン拡張とステント留置を行うだけでは十分な拡張が得られないことがあります。

図1:全周性の石灰化の血管内超音波画像

高度石灰化病変に対するRotablator(ロータブレーター)による治療

図2: Rotablator(ロータブレーター)

高度石灰化病変に対する治療法としてRotablator(ロータブレーター)という機械があります(図2)。Rotablatorは先端に人口のダイヤモンドで作られたドリルを備えていて、1分間に14-20万回の回転行い、石灰病変を削ることができます。Rotablatorはどこの病院でもできるわけではなく、一定症例数以上のカテーテル治療を行っていることや一定症例数以上の手術を行っている心臓血管外科を有していることなどの施設基準があります。当院はこれらの施設基準を満たしており、必要な症例対して以前から積極的にRotablatorを施行しています。最近の症例数と全冠動脈治療症例数に占める割合は図3のようになります。

図3: 当院のRotablatorの症例数

当院での症例

図4に当院での症例をお示しします。労作性狭心症の患者さんですが、図3Aのような高度石灰化と伴う病変でした。バルーンだけでは十分な拡張を得ることができませんでしたが、Rotablatorを用いて切削をしてからバルーン拡張を行うことにより、図3Bのように石灰化部位に亀裂を入れることができました(赤色の矢印)。その後にステント留置を行い良好な開大を得ることができました(図3C)。血管内超音波で血管の大きさを評価することできますが、もともと2.7mm2しかなかった血管が8.7mm2まで広げることができました。この患者さんは総大腿動脈からのカテーテル治療を行いましたが、3泊4日で退院されました。

図4:高度石灰化病変に対する治療症例

最後に

Rotablatorを施行するには習熟した手技が必要であり、当院でも一部の術者しかRotablatorは施行していません。またすべての症例に対してRotablatorを施行する必要はなく、様々な機械を用いてRotablatorの必要な症例を決定しています。高度石灰化を伴った患者さんにも満足頂けるカテーテル治療を提供できるよう今後も励んで参ります。

本当に治療が必要な患者さんへのカテーテル治療

血管内イメージングデバイスの使用

冠動脈疾患に対するカテーテル治療~患者さんに応じたTRI・TFIの選択~

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心臓血管外科との密な連携

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