多発のう胞腎の血管内治療②

2014.05.26

[前回記事]2014年4月28日 多発のう胞腎の血管内治療①

 

■最新の治療方法:体にやさしい血管内治療
今まではのう胞の一つ一つに外から針を刺して内部の液体を吸い出していました。
しかし、また直ぐに水が溜まるため良い治療法とは言えませんでした。
最近、のう胞を養う血管に詰め物をしてつぶし、のう胞を縮小させる治療が普及
してきました。

脳血管や肝臓などのカテーテル検査法を応用したもので、足の付け根の動脈から
入れたカテーテルと呼ばれる直径5mmほどの管の先を腎臓の動脈に置きます。
管の中からコイルとよばれる細い金属のワイヤーを動脈の中に入れて腎臓の血管
を詰まらせてしまいます。
外から針を刺す方法と違い、1回で腎臓全部ののう胞が治療できるのが特徴です。
大部分の人で半年から1年後にはのう胞の大きさが半分以下になります。

ただし、この治療法は多発性のう胞腎という病気自体を治すわけでは無く、大きく
腫れて腸などを圧迫する腎臓全体をつぶしてしまうことを目的とする方法です。
そのため既に透析を受けていて尿量が500ml/日以下の患者さんが対象となります。
自尿の多い方は尿量が減ってからの治療をお薦めします。
治療にかかる時間は3時間程度で、入院期間も3-4日で済みます。
治療は放射線科で行いますが、この治療を希望される方は腎臓内科の医師にまず
ご相談ください。

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治療前(左)と治療6か月後(右)のCT画像(横断面)
のう胞が小さくなり、他の臓器への圧迫が軽減されています

 

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治療前(左)と治療中(右)の腎臓の血管
腎臓の動脈の枝にコイルが詰められ、その先の血管には血流がみられなくなりました。

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