よくわかる「下肢閉塞性動脈硬化症」

2010.08.16

近年わが国において生活習慣の欧米化と高齢化社会により動脈硬化性疾患が増加しております。動脈硬化は高血圧・高脂血症・糖尿病・喫煙等の原因により血管内腔が狭窄(血管が細くなる)もしくは閉塞(血管がつまる)する病態です。


これらが心臓に併発した場合には心筋梗塞や狭心症へ、頭では脳梗塞・脳出血となり、同様のことが下肢に起こると下肢閉塞性動脈硬化症となります。
下肢局所の動脈硬化進行に特に強く関係する因子は、男性・加齢・糖尿病・喫煙です。とくに喫煙・糖尿病を有する高齢患者様においては、下肢症状が出現したらとくに本疾患を疑わなければなりません。
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症状は?
下肢動脈硬化の合併つまり血流障害では様々な症状が出現します。症状はFontaine(フォンテイン)分類により1から4段階に分かれており4が最も重症です。
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1はしびれ・冷汗、2は間欠性跛行(かんけつせいはこう)です。間欠性跛行とは、歩行により下肢筋肉に虚血(血流不足)痛が生じ、これにより歩行不能に至り休息により疼痛が回復する症状です。運動時は安静時と比較して血流量は7倍になり、血管が50%以上狭窄すると血流量が低下すると報告されています。
3は安静時の下肢の痛みです。動脈の血流障害による安静時下肢痛の患者様は下肢を下に下げると血流は若干改善します。そのため夜になると横になって寝ず、椅子に座って休まれる方もいらっしゃいます。4は足趾の潰瘍・壊疽です。3・4を合わせて重症虚血肢と呼び下肢切断が差し迫った病態です。
現在高齢者における下肢切断の原因は、交通事故から虚血性潰瘍によるものに移行しており、安静時の下肢痛や足趾潰瘍の患者様には速やかな血流改善の治療が必要です。
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続編の「②治療は?」は後日、掲載予定となっておりますのでお楽しみに☆
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