大腸がんに対する最新の内視鏡治療について②

2022.07.19

前回は大腸がんの概要についてご紹介しました。内容はこちら

早期大腸がんの内視鏡治療(ESD)について

早期の大腸がんに対する内視鏡治療は、通常はスネアと呼ばれる金属の輪を病変に掛けて締めて切除します。スネアで切除できない陥凹型の病変や大きな病変に対しては、内視鏡用の電気メスを用いた内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)(図 2)という方法で切除しています。電気メスで病変周囲の粘膜を切開し、続いて病変直下の粘膜下層を剥離して切除する方法で、表面から浅い粘膜下層までにとどまっている病変であればサイズが大きくてもがん全体をひと固まりで切除することができます。ESDによる切除で、がんか否かを診断することや、病変の広がる範囲など正確な組織診断が可能となり、再発の危険性も低くなります。大腸は食道や胃と比べて壁が薄く屈曲も強いため、大腸の ESDは高度な技術を要するとされています。当院では様々な工夫を取り入れることにより、より安全で確実な ESDを目指しています。また、鎮静剤や鎮痛剤を用いるためほぼ眠っている状態で治療を受けることができ、治療後もほとんど痛みはありません。これまで外科手術が行われていた大きな大腸腫瘍も、このESDという技術を用いると安全で確実に切除できます。外科手術に比べて体への負担は少なく、入院期間も短く、早期の社会復帰が可能です。 

大腸がんの早期発見のため、検査を受けましょう!

大腸がんをはじめ、消化管がんへの内視鏡治療は進歩してきています。コロナ禍で大腸がん検診の受診率は下がっていますが、大腸がんの早期発見のためには、便潜血検査もしくは大腸内視鏡検査を受けられることをおすすめします。早期の段階であれば、大きな腫瘍でもより負担の少ない ESDで治療が可能です。ご不明な点は、かかりつけの先生(消化器内科)にご相談ください。

 

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