下部消化器外科(小腸、大腸、肛門)

当科での大腸癌治療について

まず当科での治療の特徴について説明いたします。

1.患者一人一人の状態に合わせて治療方針を決定します

現時点で最も標準的な治療法を推奨しているのが治療ガイドライン(2016年度版大腸癌診療ガイドラインや世界的によく使われているガイドラインのひとつであるNCCNガイドライン)です。当科ではこのガイドラインを参考に治療方針は決定しますが、このガイドライン通りの治療方法が様々な理由で適切ではないことがあります。そこで病気の進み具合、体の状態合わせて、術後の肛門機能を出来る限り体にやさしい治療方法を選択して、生活の質をできるだけ保つことができるグレードの見合った治療方針を立てています。加えてより良い最新の治療方法を開発にも積極的に参加しています。

ガイドラインを踏まえた治療方針および当院で治療を受けていただくにあたって特に重要と思われることを外来初診時より説明し、患者さんが治療について十分理解をしていただけるように努めています。

入院中の経過・治療は、日々の治療内容や看護内容を日ごとに記載したクリニカルパスを用いています。患者さんにわかりやすく安全で優しい治療の提供を心がけています。

大腸癌の病期(ステージ)分類

0期 がんが粘膜にとどまるもの
I期 がんが大腸壁にとどまるもの
II期 がんが大腸壁を越えているが、隣接臓器におよんでいないもの
III期 リンパ節転移のあるもの
IV期 腹膜、肝、肺などへの遠隔転移のあるもの

2014年度版大腸癌治療ガイドラインより引用

2.体にかかる負担を少なくし生活の質をできるだけ保つ治療

1)内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD: Endoscopic Submucosal Dissection)

2011年より消化器内科と共同してESDを開始いたしました。
従来の内視鏡治療では一括切除できなかった、より大きな腫瘍が内視鏡で切除できるようになります。

2)腹腔鏡手術

2007年より腹腔鏡手術を本格的に導入し、2012年は90%以上を腹腔鏡手術で行い、さらにキズの小さなTANKO手術も約20%に行なっています。

しかし腹腔鏡手術には長所もありますが、当然短所もあります。そこで腹腔鏡の短所を十分考慮して、根治性と安全性を重視しつつ腹腔鏡手術を行っています。

腹腔鏡手術の長所
  • 体にかかる負担が小さい
  • おなかの創が小さいので創の痛みが少なく、早期より離床が可能
  • カメラで大きく見ることができ、肉眼では見えないものが確認できる
  • 早期退院が可能
    など
腹腔鏡手術の短所
  • 病気の部分を直接触れて確認できない
  • 手術中におなかの中全体が確認できない
  • 開腹手術より多少手術時間がかかる
    など

当科では腹腔鏡手術を第1選択としており、他の施設ではあまり行っていない進行癌や手術難易度の高い横行結腸癌に対しても積極的に腹腔鏡手術を行っています。

*ほかの臓器へ直接広がっている場合や8cm以上の大きな癌の場合には開腹手術を行っています。

3)肛門温存術=永久人工肛門を作らない手術

生活の質を保つ治療のひとつが肛門温存手術です。

直腸癌の約8割は肛門を残せるようになっています。

直腸と肛門の境目(歯状線)にかかる肛門にきわめて近い位置にある直腸癌であっても早期癌や進行癌の一部では肛門を閉める筋肉(肛門括約筋)を部分的に切除しつつ肛門を温存する手術(ISR:内肛門括約筋切除術/Inter Sphincteric Resection、PSER:外肛門括約筋部分切除術/ Partial External Sphincter Resection)も行っております。

3.新しい治療法の開発

治験

当科では常に複数の治験に参加し、がんに対する薬物療法の専門施設と共同で、未承認薬の開発を行っており、治療の選択肢を増やすことができます。

共同研究

当科では、大腸癌の治療を専門にしている病院が集まって新しい治療の開発に取り組んでいるグループに参加しています。

  • JCOG:日本臨床腫瘍研究グループ(Japan Clinical Oncology Group)
    • 国立がん研究センターの研究班を中心とする共同研究グループ
    • 国立がん研究センターがん対策情報センター臨床試験支援部が研究を直接支援している
    • がんに対する標準治療の確立と進歩を目的として様々な研究活動(多施設共同臨床試験)を行っています
  • OGSG:大阪消化管がん化学療法研究会
    • (Osaka Gastrointestinal cancer chemotherapy Study Group)
  • 大阪大学消化器外科共同研究会 大腸疾患分科会
  • 腹腔鏡下大腸切除研究会

これらのグループで行われている臨床試験に積極的に参加し、より新しい治療の科学的根拠を発信できるように努めています。

新しい治療法(臨床試験)の対象となる患者さんに十分説明し、その治療法への参加・不参加を理解していただいた上で意思決定できるように心がけています。

大腸癌の基礎知識

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