2019.10.15
がんゲノム医療とは
ヒトの細胞の中には「核」という部分があり、核の中には遺伝情報を載せた「染色体」が入っています(図1)。「ゲノム」とは、この染色体に含まれるすべての遺伝情報のことを指します。「がんゲノム医療」とは、これら遺伝子の情報に基づくがんの個別化治療の1つです。
「がん」の治療は主に、臓器や組織の種類に基づいて決められます。しかし近年、遺伝子の異常に着目した治療が注目されています。なぜなら、がんは遺伝子変異が積み重なった結果発症するからです(図2)。近年、がんの発生や進展に強く関わる遺伝子が解明されてきており、特定の遺伝子を標的とした治療薬(分子標的治療薬)の開発が進んでいます。また、一部のがんでは、すでに標準治療(治療効果に科学的根拠が認められており、現在最も推奨されている治療)として1つまたはいくつかの遺伝子を調べる「がん遺伝子検査」を行い、遺伝子に合う薬が選択されています。「がんゲノム医療」は、主にがんの組織を用いて、多数の遺伝子を同時に調べ(「がん遺伝子パネル検査」)、一人一人のがんの持つ遺伝子変異に合わせた治療を行うことです。
※図1:国立がん研究センターがん情報サービスより引用
次回は令和元年10月21日(月)に「がんゲノム医療②」として「検査の方法」、「がん遺伝子パネル検査を受ける前の注意事項」をご紹介する予定です。
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