遺伝子診療科

ゲノム医療 新時代の幕開け

近年、様々な疾患で遺伝要因が関係することや、遺伝的体質によって適する治療が異なる場合もあるなど、医療における遺伝の重要性が社会的に広く認知されるようになりました。このため当院では2015年10月より遺伝外来を開始し、2018年8月に遺伝子診療科を開設(2018年4月開設の遺伝診療科から名称変更)いたしました。 遺伝というと特別なこと、あるいは稀なことという印象があるかもしれませんが、実際には全ての人の健康に関係しています。当院遺伝子診療科では、安心、安全を第一に皆様が希望を持って前向きに進まれることを何よりも大切に取り組んでおります。

また、がんゲノム医療の実践のための「がん遺伝子パネル検査」が2019年6月より保険適応となったことで、さらに社会的認知度も増す中で臨床現場として多様なニーズにお応えしていくことが重要と考えております。「がん遺伝子パネル検査」に関しては、中核拠点病院である大阪大学の連携施設として各診療科が窓口となり実践しています。

対象疾患

当院の遺伝子診療科では主に遺伝性腫瘍(家族性腫瘍)や胎児の出生前診断を専門的に扱っています。今後、他の疾患や遺伝的体質に基づいた薬剤の選択などへの取り組みも進める予定です。

遺伝性腫瘍(家族性腫瘍)

遺伝性腫瘍(家族性腫瘍)は主に遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)やリンチ症候群を取り扱っています。がんリスク低減手術である卵巣卵管切除(RRSO)と乳房切除(RRM)術についても当院の倫理審査にて承認されております。

2018年4月より当院は、一般社団法人日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構が定める「遺伝性乳癌卵巣癌総合診療の基幹施設」の認定を受けました。

一般社団法人日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構認定施設一覧はこちら

出生前診断

出生前診断についての詳細は、こちらをご覧ください。

がんゲノム医療

「ゲノム」とはDNAに書き込まれたすべての遺伝情報のことで、「がんゲノム医療」とはがん患者さんのゲノム情報を調べてがんの原因となる遺伝子を特定し、より効果が高く副作用の少ない治療薬を選択するなど、一人ひとりの患者さんに適した治療を行うことです。関西ろうさい病院では大阪大学医学部附属病院と連携して、先進医療Bでがんゲノム医療検査を開始しています。

対象
  • 外来通院可能な状態であること
  • 病理学的に固形がん※と診断されていること
  • 進行・再発の進行がんの方( 治療がない 、標準治療を終了している、もしくは終了が見込まれる)
  • 遺伝子パネル検査のためのがん組織試料として、余剰試料が得られること

  ※パネル検査により異なる

パネル検査とは

 

腫瘍組織の遺伝子異常を調べる検査です。見つかった遺伝子異常に合わせた治療を受けたり、臨床試験に参加したりすることができる可能性があります。

がんゲノム医療情報管理センター「がん遺伝子パネル検査について」 動画152MB

がんゲノム医療情報管理センター「遺伝的背景とがんの関わりについて」 動画142MB

がんゲノム医療情報管理センター「がんゲノム情報管理センターについて」 動画179MB

がんゲノム医療情報管理センター「検査の意思決定について」 動画261MB

費用

パネル検査により異なるためお問い合わせください。
保険のきくパネルの場合は56万円(3割負担の場合、検査に168,000円)の検査費用がかかります。この他に初診料などが別途かかります。

検査期間

約2月かかります。検査結果は専門家会議を経て、主治医にお返しし、主治医から結果の説明があります。

検査を受けるには

まずは、主治医の先生にご相談ください。
お困りのことがあれば、以下までお問い合わせください。

 

関西ろうさい病院「 がんゲノム医療のご案内」リーフレット(PDFファイル)

がんゲノム情報管理センター「がんゲノム医療とがん遺伝子パネル検査」ウェブサイト

 

診療の特徴

チーム医療

臨床遺伝専門医および認定遺伝カウンセラーらが一丸となり、疾患に対する正確な情報を提供し、患者さんやご家族の不安を和らげ、遺伝子検査を含む様々な選択や意思決定を支援いたします。各疾患の診療を担当する専門科の医師とも連携をし、その後の診療への橋渡しを適切に行います

遺伝子検査・診断

十分な遺伝カウンセリングを行った上で、希望と必要性がある場合は遺伝子検査を行います。遺伝子検査は保険適用検査、自費検査あるいは臨床試験・研究検査から適切に選択して実施いたします。多くの遺伝子検査は少量の採血(10-20cc)やがん組織の検査を1度だけ行い、疾患に関係する遺伝子を調べます。

遺伝カウンセリング(遺伝相談)

出生前診断を希望される方や遺伝性疾患(の疑いも含む)の患者さんやその親族、あるいは遺伝について不安や悩みを抱えている方々を対象に、遺伝に関する情報を提供し、また遺伝子診断を受けるべきか否かを、どのような治療を選ぶのかなどについて、ご自身で決めていただくためのお手伝いをいたします。個人の意志を尊重し、十分な理解が得られるよう、時間をかけて遺伝カウンセリングを行います。

遺伝カウンセリングには、遺伝子検査前と、遺伝子検査後に行います。

遺伝子検査前のカウンセリング
  • 考えられる疾患の説明
  • 遺伝子検査の目的と説明
  • 血縁者への影響の問題への対応
  • 検査結果が出た後のことについてなど
遺伝子検査後のカウンセリング
  • 遺伝子検査結果の報告と説明
  • 遺伝に関する説明
  • 診断結果に基づいた疾患に関する医学的情報提供、治療法、サーベイランスの方法、社会的支援などについての情報提供など
遺伝カウンセリング日時

第2金曜日 午前9時30分から午後2時30分まで

遺伝カウンセリング費用

1回 9,900円(税込)
2回目以降 5,500円(税込)

スタッフ

伊藤 公彦(いとう きみひこ)

部長:伊藤 公彦

役職 遺伝子診療科部長
副院長
産婦人科部長
専門分野 婦人科悪性腫瘍の診断と治療・臨床研究
資格等

詳細はこちら              

大島 一輝(おおしま かずてる)

大島 一輝

役職 第二遺伝子診療科部長
乳腺外科部長
専門分野 乳腺の悪性腫瘍・遺伝性腫瘍
資格等

詳細はこちら              

太田 高志(おおた たかし)

太田 高志

役職 第三遺伝子診療科部長
第二腫瘍内科部長
第四消化器内科部長
専門分野 化学療法・消化器内視鏡
資格等

詳細はこちら              

臨床遺伝専門医
植野 さやか(藤田医科大学所属)

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