関西ろうさい病院 肝臓病教室を開催しました

2011.09.30

9月28日(水)平成23年度 第3回 肝臓病教室が開催されました。
当院、消化器内科部長の萩原秀紀医師から
B型肝炎・C型肝炎の治療についての話がありました。
「B型肝炎の治療」について
大人になってB型肝炎に感染した人のほとんどは治ります。
3歳までに感染した人の90%以上の人はウイルスを持ち続けます。
B型肝炎は、C型肝炎とは異なり肝炎ウイルスを完全駆除することはできませんが、ウイルス増殖を持続的に抑制することによって、肝炎を鎮静化させることはできます。そこで、肝硬変への進展阻止・発がんの阻止・生存期間の延長を治療の目標とします。
B型慢性肝炎の治療には、インターフェロン療法と、核酸アナログ療法があり、それぞれに、長所と短所があります。
インターフェロン療法には、耐性ウイルスの出現は無く、有効例では治療中止後も効果が持続するなどの長所がある反面、発熱や頭痛、吐き気などの副作用がおこります。
一方の核酸アナログ療法には、副作用がほとんどおこらない反面、耐性ウイルスが出現したり、治療中止後の再燃が多いという短所があります。
そこで、厚生労働省の「B型肝炎の治療ガイドライン」にそって治療を行っていきます。
「C型肝炎」について
C型肝炎はB型肝炎とは異なり、C型肝炎ウイルスを完全駆除するつまり”治す”ことが可能な病気です。
ただし、成人で治療に支障となる合併症がなく、副作用を乗り越えてでも”治したい”という強い希望がある方が治療の対象となります。
C型肝炎ウイルスには、1型と2型という2つの型があり、またウイルス量の多い方と少ない方がおられます。1型でウイルス量の多い型が一番治りにくいタイプとなりますが、その方たちの50%、つまり2人に1人は治ります。それ以外のタイプの方は、80%以上の方が治っておられます。
2003年より、インターフェロンよりも、1週間に注射する回数が少なくてすむ
ペグインターフェロンの治療が始まり、現在、併用する新薬の臨床試験も行われています。
年末から年明け頃には、併用する新しい薬「テラプレピル」が施設限定で使用でき、当院でも使用できる見込みです。
また、数年のうちには、「テラプレビル」よりも副作用が少なく治療成績も良い「TMC435」も保険使用が可能となるそうなので、少しでも早く保険使用が認められることを願います。


次に薬剤師より、
「C型慢性肝炎におけるインターフェロン療法について」
「当院で使用しているインターフェロン製剤と副作用について」

の話がありました。

肝臓病の概要
   日本では、肝臓病の約8割がウイルス性の肝疾患
   そのうち、75%がC型肝炎で20%がB型肝炎
   両者とも、一定の潜伏期間を経てほとんどが急性肝炎になり、
   体がだるい、疲れやすい、食欲がない、
   発熱、頭痛、悪心などの風邪の症状が現れる。
   C型肝炎はB型肝炎に比べて症状は軽く、
   自覚症状がほとんどないので慢性化しやすい。

よくみられる副作用
  ・注射部位の反応
  ・インフルエンザ様症状
  ・食欲不振、吐き気などの消化器症状
  ・発疹、かゆみなどの皮膚症状
  ・脱毛
  など
  
注意が必要な副作用
  ・うつなどの精神神経症状
  ・間質性肺炎
  ・甲状腺機能異常
  ・心臓の症状や糖尿病の悪化
  ・目の症状(網膜症)
  ・脳血管障害
  など
自覚しにくい副作用
  ・ヘモグロビン減少
  ・白血球・好中球減少
  ・血小板減少
  など
「治療中、併用してはいけない薬、併用するのに注意がいる薬について」
の説明がありました。
続いて看護師から、
「インターフェロン投与中の日常生活についての注意点や
副作用とうまく付き合う方法について」

の話がありました。

極度の安静は、体力低下・肥満の原因になるので、
次の日に疲れを持ち越さない程度の適度な運動が必要です。
その他、日常生活における注意点について
  ・感染予防について
  ・旅行についての注意点
  ・食欲不振時の食事について
  ・不眠時について
  ・血液検査をして初めてわかる副作用について
  の話がありました。
“からだと気持ち、両方の面でサポートしていきます。
些細なことでも遠慮なく相談してください。”

との心強い言葉がありました。
その後、ご参加いただいた方から、
インターフェロン治療中の運動量について
周りの方のサポートについてや
かかりつけ医との付き合い方、
健康食品やサプリメントについての
ご質問・ご相談があり、それにお答えさせていただきました。
患者さまや、支えておられるご家族の方も、
いろいろと悩んでおられることと思いますので、
一度、当院の「肝臓病教室」へお越しになりませんか?

次回は、11月16日(水)13:30より
「肝硬変・肝がんについて」
「肝臓にやさしい食事について」
です。
萩原医師と栄養士が
わかりやすくお話しいたしますので、
皆さま、お気軽にご参加ください
                          
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