心房細動の原因 – 関西ろうさい病院(兵庫県尼崎市)地域医療支援病院・がん診療連携拠点病院
独立行政法人 労働者健康安全機構 関西ろうさい病院 心房細動

心房細動の原因

心房細動の原因

心房細動は年を重ねるごとに起こりやすくなり、男性は60歳台、女性は70歳台から急激に発症率が上がります。
また発症するかどうかはある程度生まれつき(遺伝的に)決まっている部分もあります。

日本における年齢別の心房細動有病率

一方で様々な生活習慣や病気(リスク因子と言います)によって引き起こされることもあり、代表的なものだけでも高血圧、心不全、狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患、心臓弁膜症、糖尿病、肥満、睡眠時無呼吸症候群、高尿酸血症、喫煙、アルコールなどが挙げられています。

これらのリスク因子は心房細動の発症だけでなく、心房細動の進行(発作頻度や持続時間の増加)、カテーテルアブレーション後の再発、心房細動によって引き起こされる脳梗塞等の合併症にも関連していることが知られています。生活上の重要な注意点は、心房細動を予防するために、また発症した場合病期を進行させないために是正可能なこれらの原因の改善に努めることです。

心房細動の主な原因
1.高血圧

高血圧をお持ちの患者さんに心房細動を発症することはよくあります。また心房細動による脳梗塞のリスク因子としても知られているほか、血圧が高い状態が続くと抗凝固薬を服用中の方の脳出血が増えることも分かっています。減塩、適度な運動などが推奨されますが、必要ならば降圧剤を服用しましょう。治療目標血圧は75歳までは125/75mmHg未満、75歳を超えても135/85mmHg未満とされています。
2.糖尿病

糖尿病は様々な臓器を傷めることになります。特に心房細動は糖尿病の方に多いことはよく知られています。当院のデータでも糖尿病の方は心房の傷み(線維化)がひどいことが多く、カテーテルアブレーション治療も効果が小さくなってしまいます。食事・運動療法・薬物治療などをしっかりと行い、血糖値を適切に管理するようにしましょう。
3.肥満

肥満の方も心房細動が起こりやすいとされます。特に下腹がふくれる内臓脂肪が蓄積するタイプの方(メタボリック症候群)は、心臓の周りを取り囲んだ脂肪が心臓を傷めるとされています。さらに肥満は高血圧や糖尿病、さらに睡眠時無呼吸などほかのリスク因子も引き起こすことでますます心房細動を起こりやすくします。なお瘦せることによって心房細動発症リスクを下げられることも分かっています。これを機会に生活習慣を見直してみませんか。
4.喫煙

肺癌や心筋梗塞のリスク因子としてよく知られる喫煙ですが、心房細動の原因にもなるとされています。例えば日本の研究において、①現在の喫煙、②過去も含めたブリンクマン指数(たばこの1日の本数x喫煙年数)≧800の喫煙は,心房細動の発症と関連していることが報告されています。
しかし現在喫煙している方ではブリンクマン指数<800の少量の喫煙でも心房細動発症は減少しないこともわかっており、心房細動を予防するためには喫煙本数を減らすだけでは不十分です。
心房細動の予防のためには喫煙の中止が望ましいと考えられます。
5.飲酒

発作性心房細動をお持ちの方で、飲酒後に心房細動発作が出た経験のある方は多いのではないでしょうか。これまでの研究結果から飲酒量が多いと心房細動発症リスクが増えることが分かっています。アルコール摂取量が10g/日 (ビール 250ml(500mlのロング缶0.5本分))増えるごとに心房細動の発症リスクが5%上昇することが報告されています。 心房細動の予防のためには節酒が望ましいと考えられます。
6.睡眠時無呼吸症候群

寝ている間に呼吸が止まってしまう睡眠時無呼吸症候群は、気付かないうちに体に負担をかけて様々な病気を引き起こします。中でも心房細動発症リスクを高めることが知られています。夜中の呼吸が止まっている、いびきがひどいなどご家族に指摘される方や日中に異常な眠気を感じる方はぜひ睡眠時無呼吸の検査を受けてください。
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