薬剤部

医療の安全確保に専門性を活かす

薬剤部の特徴

薬剤師の専門性は、①病態下での薬理効果を考え予測し評価すること、②病態下での薬物動態を考えその効果を予測し評価すること、③薬物の構造式から物質特性を考えて薬物間相互作用やその効果を予測し評価することが挙げられます。また医学的エビデンスにおいても、薬学的根拠に基づいてその評価を行い、患者様への説明や臨床効果のモニタリングを行い、必要に応じて医師への照会を行う必要があります。
そこで当院薬剤部では、上記薬剤師としての専門性を基礎から臨床に応用し、様々なエビデンスを基に有効かつ安全に薬物治療ができるように各業務を行い、チーム医療の一員としての責務を全うできるように努めています。

薬剤部長 竹田克明

薬剤師の募集について(令和5年度及び6年度)

薬剤部では、薬物療法に興味があり、積極的に臨床業務に係っていきたいと希望する薬剤師を募集しています。詳細につきましてはリクルート(コメディカル募集)ページをご確認ください。

リクルート(コメディカル募集)

全国労災病院グループの薬剤師採用説明会の開催について

薬剤部の業務内容

1)内用薬・外用薬・注射薬の調剤

内服薬や外用薬の調剤では、医師の処方箋に基づいて投与量、投与方法、薬の飲み合わせ(相互作用)、安定性などについて電子カルテからチェックを行い、個々の患者さんの状態に適したお薬が提供できるようにしています。
注射薬の調剤では、24時間アンプルピッカーを用いて1施行1トレイで調剤を行なっています。また配合変化、投与経路、投与時間などのチェックも行い、安全かつ効果的に点滴や注射が実施できるようにしています。

2)周術期外来服薬説明

平成26年から稼動していた「術前センター」は平成30年4月にから「入退院支援部門」と名称変更し、すべての入院予定患者さんを対象に業務を行っていますが、薬剤師は入院前に使用薬剤の確認を行うことで入院後の治療が滞りなく受けられるよう支援しています。


3)病棟業務

病棟では、各病棟に専任の薬剤師を配置して臨床薬学業務を実践しています。入院時の持参薬鑑別や、薬物投与量設計、薬物治療の効果と副作用のモニタリング、患者個々に応じた服薬指導、医師に対する処方提案などを行い、他職種とも協力して有効で安全な薬物療法を支援しています。


4)注射薬の調製(高カロリー輸液、抗がん剤)

高カロリー輸液は原則として既製品を採用していますが、手術の後などで食事ができない場合には、身体に必要な水分、アミノ酸、糖質、電解質、ビタミンやミネラル等の各栄養素を中心静脈より長時間にわたって注入することがあります。その際、細菌汚染による感染が発生しないように無菌室で混合調製を行っています。

当院は平成19年1月に地域がん診療連携拠点病院に指定され、平成26 年8 月からは「がんセンター」が稼働しており、年々患者数が増加傾向にあります。中でもがん薬物療法は、免疫チェクポイント阻害剤などの新規抗がん剤の登場や多剤併用療法の進化により年々複雑化しており、薬剤師の専門性が特に必要とされる領域となっています。薬剤師は、がん薬物治療がスムーズに実施できるよう、抗がん剤の投与手順や副作用対策等についてレジメン作成の段階から関わり、さらに安全確保を徹底するため、処方鑑査、薬剤の取り揃え、無菌調製にいたるまでダブルチェックを実施しています。調製前には臨床検査値やカルテ記録などを確認することで、薬剤師の視点で抗がん剤が実施可能かどうかを評価しています。また、初回投与時やレジメン変更時には患者さんが安心して新しい治療を受けることができるよう、医師・看護師と協力して患者指導にあたっています。また、令和2年10月より連携充実加算の算定を開始しています。保険薬局との連携を強化し、患者さんの状態(副作用発現状況)の把握、副作用出現時の適切な対応に努めています。


5)院内製剤

患者さんの病態にあった薬が市販されていない場合は、病院内で薬剤師が院内製剤として作成しています。また院内製剤は日本病院薬剤師会の「院内製剤の調製及び使用に関する指針」に則りクラス分類を行い、作成・使用について倫理委員会や薬事委員会を通じて厳密に精査したうえで登録を行い、調製しています。


6)医薬品情報業務(DI業務)

院内・院外で発生している医薬品の効果や副作用の情報を、PMDAなどを通じて、いち早く収集し評価したうえで、電子カルテを通じた院内メールの配信など、様々な情報を発信しています。また毎朝行っている薬剤部ミーティングを通じて、DI担当薬剤師から最新の医薬品情報提供があり、薬剤師全員で共有することにより、他職種への質の高い情報提供に努めています。
更に院内で発生した副作用の情報は、病棟担当薬剤師と連携して収集と一元管理を行っており、主治医と相談のもと医薬品医療機器総合機構(PMDA)への医薬品安全性情報の報告や副作用報告なども行っています。
採用薬については、最終ページの「関西労災病院 採用薬一覧」をご確認ください         


7)チーム医療への貢献

当院薬剤部では、感染制御や抗菌薬適正使用支援、糖尿病、がんや緩和ケア、栄養サポート、褥瘡対策、せん妄対策などのチームに積極的に参画しており、各種専門・認定資格を取得した薬剤師が活動しています。
例えば感染症の分野では、チームの一員として、有効な治療薬の選択や耐性菌発現予防のための方策について、血中濃度測定や薬物動態をシミュレーションして、各患者さまに適した投与計画を行っています。


8)治験業務

治験とは「くすりの候補」を用いて、国の承認を得るための成績を集める臨床試験です。治験の実施に際して「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に基づく厚生労働省の定めたGCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)を順守する必要があります。
当院での治験業務においては治験事務局に専任の薬剤師2名と事務員3名を配置し、受託関連業務、委員会事務、CRC(臨床研究コーディネーター)業務を、SMO(治験施設支援機関)4社と協力しながら行い、円滑な実施と質の担保を心がけています。
令和4年度は26件の治験を実施しました。

資料等が必要な方は、下記の「治験審査委員会事務局」をクリックしてください。

関西労災病院治験事務局ホームページはこちら


9)医療安全への取り組み

医薬品は病院の至る場所に存在し、安全かつ有効性が発揮できるように取り扱う必要があります。しかしながら保管場所や取り扱い状況を、タイムリーに全て管理することは困難です。薬剤師は医薬品安全管理者として、病院で発生する可能性がある医薬品のリスクを職種間で共有、分散化し、質を下げずに全ての職種の業務が複雑化しない方法を検討する必要があります。
当院薬剤部では、院内で発生する薬剤関連インシデント事例を基に、医療安全管理室と連携してその対策を積極的に検討しています。また、医療安全委員会と協働して、毎年全職員対象とした医薬品安全管理研修会を行っています。


10)薬学生の実務実習受け入れ

教育面では薬学生1年次の早期体験学習や5年次の11週間にわたる長期実務実習を通して、将来臨床で働くときの実践的能力が身につくよう、また命を守るやりがいのある職業であることも感じてもらいながらカリキュラムを工夫して指導しています。実習最終日には学生による「実習報告会」を行い、実習を通じて行った薬学的アセスメントの一例を発表しています。そのためプレゼンテーションスキルやアセスメントの方法等についても学習しています。


11)専門資格の取得 (学会発表や論文投稿)

薬剤師がより専門性を活かした業務ができるように、臨床で経験した内容やデータをまとめて、毎年学会発表や論文投稿などを行い、薬剤師としてのスキル向上と各種専門資格取得に努めています。
当院薬剤部は、日本医療薬学会認定薬剤師制度研修施設、日本医療薬学会薬物療法専門薬剤師制度研修施設、日本医療薬学会がん専門薬剤師研修施設の認定を取得しています。
当院薬剤部員が取得している認定専門資格は最終ページの「スタッフ」の欄を参照ください。


薬剤部の理念

関西労災病院の理念と基本方針に基づき、知識と倫理観をもって患者及び家族に安心で効果的な薬物療法の提供に努めます。

基本方針

  1. 医薬品の安全管理と適正使用に努めます。
  2. 医療チームの一員となり薬物療法に貢献します。
  3. 質の高い薬剤情報を提供します。
  4. 知識と技量を持った温かい薬剤師を育成します。
  5. 地域医療機関と連携し地域の医療に貢献します。
  6. 病院の運営に一丸となって貢献します。

疑義照会の方法について

当院発行の院外処方箋の処方内容について疑義がある場合には、薬剤部へFax. にてお願いします。
記載様式は日本薬剤師会または日本病院薬剤師会のものをご使用ください。

薬剤部調剤室 直通 Fax.(06)6416-5611 平日8:15~17:00

当院の薬剤師が処方医に確認し、Fax. にて回答いたします。
至急で対応いたしますが、時間がかかる場合がありますのでご了承ください。

院外処方箋における疑義照会簡素化プロトコルについて

薬物治療管理の一環として、調剤上の典型的な変更に伴う疑義照会を減らし、患者さんへの薬学的ケアの充実および処方医や保険薬局の負担軽減を図る目的で「院外処方箋における疑義照会簡素化プロトコル(2017年6月1日版)」を2017年6月1日から運用しています。 なお、本プロトコルの運用にあたっては、プロトコルの趣旨や各項目の詳細について薬剤部担当者からの説明をお聞きいただいた上で、合意書を交わすことを必須条件としております。

  • 院外処方箋における疑義照会簡素化プロトコル(2020年5月8日改訂)
    PDFファイル

院外処方せんにおける疑義照会簡素化プロトコル問い合わせ先:薬剤部医薬品情報室
Tel. (06)6416-1221(代) E-mail krph@kansaih.johas.go.jp
平日 8:15~17:00

トレーシングレポート・疑義照会簡素化報告書について

当院では「トレーシングレポート・疑義照会簡素化報告書」を用意しております。

保険薬局にて即時性は低いものの、処方医師への提供が望ましいと判断された内容についてはFax. にてトレーシングレポートを送信願います。医師へ情報伝達を行い情報の共有化を図ります。

また、疑義照会簡素化プロトコルを用いて処方変更を行った際は、合意締結印を押印した疑義照会簡素化報告書による情報提供をお願いしておりますので、こちらをご利用ください。

特定薬剤管理指導加算2の算定に関連する報告について

当院で連携充実加算を算定している患者の服薬状況や副作用の有無等を確認していただき、得られました情報、薬学的評価についてはFax.にてトレーシングレポートを送信してください。

当院のトレーシングレポートを使用される場合は特定薬剤管理指導加算2にチェックをつけていただくようにお願いします。

トレーシングレポートは各保険薬局でご使用されている形式のものでも構いません。

  • トレーシングレポート・疑義照会簡素化報告書(2020年11月5日版)

PDFファイル   wordファイル

薬剤部調剤室 Fax.(06)6418-5277
※疑義照会のFax. とは異なりますのでご注意ください。

がん薬物治療レジメン(説明書)

外来抗がん剤治療のレジメンについて、薬剤師が患者さんに説明するときに使用する資料です。代表的なものを部位別に掲載しています。

がん薬物治療レジメン一覧

がん薬物療法レジメンに関する問い合わせ先:薬剤部
Tel. (06)6416-1221(代) E-mail krph@kansaih.johas.go.jp
平日 8:15~17:00

関西労災病院 採用薬一覧

  • 採用薬一覧(2023年4月13日版)

PDFファイル   excelファイル

薬剤部学術業績 (PDFファイル)

スタッフ

竹田 克明

部長

竹田 克明(たけだ よしあき)

 

福澤 正隆

副部長

福澤 正隆(ふくざわ まさたか)

 

薬剤師:35名、助手:5名 (令和5年4月1日)

 

認定・専門薬剤師

日本病院薬剤師会病院薬学認定薬剤師 21名

日本薬剤師研修センター認定薬剤師 3名

薬学教育協議会認定実務実習指導薬剤師 6名

日本薬剤師研修センター認定実務実習指導薬剤師 9名

日病薬認定指導薬剤師 3名

日本薬剤師研修センター漢方薬・生薬認定薬剤師 1名

日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師 2名

日本糖尿病療養指導士 1名

薬学博士 1名

日本医療薬学会医療薬学指導薬剤師 3名

日本医療薬学会医療薬学専門薬剤師 7名

日本医療薬学会がん指導薬剤師 1名

日本緩和医療薬学会緩和薬物療法認定薬剤師 1名

日本臨床薬理学会認定治験コーディネーター 1名

日本静脈経腸栄養学会認定NST専門療法士 2名

日本麻酔科学会周術期管理チーム薬剤師 1名

日本心理学会認定心理士 1名

日本腎臓病協会腎臓病療養指導士 1名

日本アンチ・ドーピング機構公認スポーツファーマシスト 1名

(作成者注:厚生労働大臣が届出を受理していない専門性資格)

お問い合わせ先:薬剤部
Tel. (06)6416-1221(代) E-mail krph@kansaih.johas.go.jp
平日 8:15~17:00

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