検査科

臨床検査精度保証認証施設として

患者さんとは直接お会いする機会が少なく、裏方として診療科を支援することが多い部門ですが、病気に苦しむ方々にとって、なくてはならない重要な仕事を担っています。検査科では、「常に患者さんの身になって」をモットーに、検査業務には細心の注意を払い、正確な情報をより迅速に提供するよう心がけています。

臨床検査は、採血や採尿など採取された検体を対象とする検体検査と、患者さんに直接心電図検査等を行う生理機能検査とがあります。検査科は医師2名(病理診断科は4名)、技師47名、(部長1名、主任技師10名、技師36名)助手1名を擁し、年間に検体検査(生化学・免疫、血液学、輸血、一般)19万件、微生物学検査2.6万検体、病理組織診9,535検体、細胞診8,534検体、生理機能検査8.5万件の検査を行っています。全ての技師は臨床検査技師の国家資格を有しているのはもちろん、各種学会等の認定資格を有する技師も多数在籍しています。

診療支援においては、超音波診断装置を活用した透析患者のシャントエコー検査は年間3,300件以上を行っており当院の特徴でもあります。血液製剤管理を含めた輸血業務においても学会認定の輸血責任医師を擁し、24時間体制で輸血医療の安全性および効率化に貢献しています。また感染予防の面においては、感染制御室と細菌検査室が連携をとって、診療科の協力の下、医療関連感染防止対策活動をおこなっています。さらに、チーム医療の一環として、糖尿病の方々に対する療養指導等を積極的に担当しています。

医学は常に進歩しており、臨床検査も例外ではありません。当検査科技師は常に新しい知識・技術の吸収を心がけ各種学会や研究会等に積極的に参加しています。チーム医療の一員として、先端医療を支える臨床検査を模索しながら、信頼性を保ちつつ新しい試みにチャレンジし、診療支援を行うことを使命と考えています。

診療方針

当院は 1. がん治療の強化 2. 救急医療の充実 3. 循環器治療の拡充 4. 整形外科治療の発展を中心に地域医療への貢献を目指しています。検査科においても、病院の地域貢献の取り組みを勘案し、地域医療や住民サービスの視点に立つ様々な取り組みを方針に掲げ組織改革につなげています。

1)患者サービスの精神

一日に約1,300名の患者さんが外来受診されており、①採血の待ち時間の短縮、②検査内容と報告に関する事項、など多くの要望が検査科へも寄せられています。一日当たりの採血患者数は2017年度344名、2018年度354名、2019年度366名と年々増えています。採血待ち時間は9時から10時の間では30分ほどお待ちいただくことがありますが、おおむね15分以内で行っています。混雑時は臨時に職員を配置するなど、採血待ち時間の短縮に取り組んでいます。

2)検査技術の向上

臨床検査に携わる全ての職員は国家試験である「臨床検査技師」の資格を有していますが、医療技術の進歩や専門化が進み、各専門学会においても高度な技術と信頼できる検査成績を提供できる技師に”〇〇認定検査技師”と呼ばれる資格制度を設置しています。当検査科の技師では28の認定資格(延べ71名)を取得し検査技術向上に努めています。

認定資格名称 資格取得者 認定資格名称 資格取得者
細胞検査士 4 超音波検査士(消化器) 5
細胞検査士(国際) 3 超音波検査士(循環器) 5
一級臨床検査士(血液) 1 超音波検査士(体表) 2
二級臨床検査士(血液) 7 超音波検査士(血管) 3
二級臨床検査士(臨床化学) 2 血管診療技師 2
二級臨床検査士(呼吸生理) 1 脳神経超音波検査士 1
二級臨床検査士(神経生理) 2 日本心エコー図学会認定専門技師 1
二級臨床検査士(循環生理) 1
二級臨床検査士(微生物) 1 日本臨床神経生理学会認定技師(脳波部門) 1
二級臨床検査士(免疫血清) 1
認定臨床化学・免疫化学精度保証管理検査技師 1 認定心電図検査技師 1
糖尿病療養指導士 1
認定輸血検査技師 5 緊急臨床検査士 3
認定血液検査技師 3 認定緊急検査技師 1
認定骨髄検査技師 2 その他の資格 13

3)医療安全の取り組み(安全な輸血)

当院は救急体制の充実を掲げており、2019年度における輸血用血液製剤(赤血球製剤)の使用は9,480単位中、17%が救急部で使用されています。超緊急時に対応する為、救急部と密な連絡体系を構築し、重症患者に対する安全な輸血療法の支援を24時間体制で行っています。

診療科別血液製剤使用状況

【2019年度赤血球製剤(RBC)総使用数 9,480単位】
赤血球製剤(RBC)総使用数

1.自家末梢血幹細胞の保管・管理

自家末梢血幹細胞移植(PBSCT)は多発性骨髄腫、悪性リンパ腫の患者に対して用いられます。化学療法を行う補助治療として、末梢血から採取された自己の造血幹細胞を移植します。検査科では末梢血から採取された幹細胞の適切な保管・管理を行っています。

2.腹水濾過濃縮再静注法(CART)の保管・管理

CARTとは、患者さんのお腹に針を刺してたまった腹水を抜き、細菌・がん細胞・血球成分を取り除きアルブミンなどの有用成分が濃縮された腹水を点滴で戻す治療法です。検査科では採取された腹水の適切な保管・管理を行っています。

4)チーム医療への貢献

1. 感染管理

ICT(Infection Control Team:感染制御チーム)

医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師(細菌検査担当者)などの医療従事者及び事務担当者で構成されたICTでは、医療関連感染を未然に防ぐため、院内研修会の開催、院内ラウンド、地域連携病院とのカンファレンスや相互チェック、サーベランスなどを行うとともに、院外から持ち込まれる結核などの伝播防止に努めています。検査科では、分離菌、薬剤耐性菌検出状況、薬剤感受性データなど院内ラウンドに必要な情報を提供してアウトブレイク防止に貢献しています。

AST(Antimicrobial Stewardship Team:抗菌薬適正使用支援チーム)

ICT内に設置されたASTでは、重篤な感染症診断で用いられる血液培養の解析を毎週一回行っています。検査科からは院内ラウンド資料を提供し、抗菌薬適正使用の推進に貢献しています。

血液培養からの分離菌(上位5菌種)(2019年度)
血液培養からの分離菌
血液培養からの分離菌(上位5菌種) 件数
E.coli (ESBL含む) 161
CNS (S.epidermidis:83 / その他 CNS : 170 207
MRSE 160
MSSA 53
Klebsiella SP ESBL含む) 89

CNS・・・coagulase negative Staphylococcus (重複患者は省く)

抗酸菌検査件数
抗酸菌検査件数
血液培養件数
血液培養件数

2. 糖尿病療養指導

糖尿病療養指導のコメディカルスタッフとして、検査科からは糖尿病療養指導士を含む5名が参加し、難しい医療用語ではなく、患者さんの立場に立ち、糖尿病とうまく付き合って重症化を防ぐために、テーマを工夫しながら説明を行っています。

糖尿病指導活動内容
活動内容 実績
カンファレンス 毎週月曜日
データ説明 年間60名
糖尿病教室 年間60名
糖尿病スクール 毎月30名

3. NST(Nutrition Support Team)

検査科では、週一回カンファレンス及びラウンドに参加し、栄養アセスメントに関わる臨床検査データの提供と説明を行っています。

臨床検査項目としては、患者さんの栄養状態を評価する際に重要な指標となるアルブミンやプレアルブミン、予後予測因子となるリンパ球や亜鉛などを測定しています。これらの値の経時的変化を把握しデータの解析を行うことにより、患者さんに効果的な栄養提供が行えるようにないます。

NST活動内容
活動内容 実績
カンファレンス 毎週水曜日
指導患者 年間290名
NST委員会 月1回

5)専門性の高い検査

1.皮膚組織灌流圧(SPP)検査

毛細管レベルの血液が、どれくらいの圧で流れているかを測定します。ABI検査との違いは、任意の場所で測定でき、足の末梢動脈疾患の診断には有用な検査です。

2.肝硬度測定(肝臓の硬さを調べる)

医師と技師が協同してフィブロスキャンという専用装置を用いて、肝臓の硬さを測定しています。肝生検に代わる検査法と言われており、入院の必要も無く腹部エコー検査と同時に行うことができます。

3.シャント超音波検査

透析患者のシャント外来において超音波診断検査を活用しています。近隣の基幹病院や透析クリニックからの紹介により、シャント作製前の血管評価や維持透析患者のシャントトラブルに対する原因精査に対して積極的に超音波検査を行っています。それらの情報は医師による治療手技にも活かされ、より安全で効率よく進めることに寄与しています。

シャントエコー検査件数
シャントエコー検査件数
診療科別血液製剤使用状況
診療科別血液製剤使用状況

6)信頼できる検査データを提供するために

精度保証認証施設認定のお知らせ

当院検査科は、平成23年度より創設された社団法人日本臨床衛生検査技師会の臨床検査精度保証認証施設として認定されました。これは当院の臨床検査データの信頼性が極めて高いことを意味しております。(令和2年4月現在では全国851施設が認定されています)

精度保証を行うためには、測定項目全てに標準物質を用いて管理しています。さらに機器のメンテナンスについても毎日行う事で、正確な信頼できる臨床検査データであるかを日々モニターしております。

「認証施設基準」について

診療実績

院内で検査を行っている検体検査は234項目になります。年間の検査数は、尿・糞便検査8.8万件、血液学的検査64.2万件、生化学的検査323.2万件、免疫学的検査26.2万件です。生理検査は37項目あり超音波検査件数は2.5万件、心電図検査は3.7万件、その他の各検査につても御紹介患者の増加、救急患者の増加、手術件数の増加等に連動し、年々増加傾向にあります。

院内で検査を行っている検体検査は234項目であり、その検査件数は尿・糞便検査8.8万件、血液学的検査624.1万件、生化学的検査3,070.1万件、免疫学的検査255.8万件です。生理検査は37項目あり超音波検査件数は2.5万件、心電図検査は3.5万件、その他の各検査についても御紹介患者の増加、救急患者の増加、手術件数の増加等に連動し、年々増加傾向が見られます。

主な超音波検査件数の推移
年度 心臓 下肢動脈 腹部 乳腺
2015年 7,563 2,258 4,684 1,800
2016年 7,897 2,141 5,180 1,473
2017年 8,492 2,711 5,042 1,559
2018年 9,332 3,193 4,727 1,596
2019年 9,152 3,281 4,795 1,556
超音波検査件数の推移

超音波検査件数

将来計画

当院には救急部、ICU、CCU、HCUと重症患者を扱う部門があり、生化学、血液検査検体等が検査科に24時間届けられ、60分以内に検査結果の報告を行っています。救急医療へはもちろんのこと、ますます進歩している高度な医療技術へ、検査データとともに付加価値のある情報提供を行っていきたいと思っています。

また、国際標準化機構が定めている臨床検査に関する国際規格の認定を目指しながら、臨床検査の精神である「大量検体」を「早く」そして「正確に」報告することを掲げて整備計画を行っていきます。

 

中央検査部学術業績 (PDFファイル)

スタッフ

橋本 光司(はしもと こうじ)

部長:橋本 光司

役職 部長
資格等 日本内科学会 認定内科医
日本血液学会 専門医
医学博士
緩和ケア研修会 修了

吉村 道子(よしむら みちこ)

吉村 道子

役職 第二部長
資格等 日本病理学会 病理専門医・専門医研修指導医
日本臨床細胞学会 細胞診専門医・教育研修指導医
死体解剖資格
医学博士

山形 篤志(やまがた あつし)

技師長:山形 篤志

役職 中央検査部長
(技師長)
資格等 日本輸血・細胞治療学会 認定輸血検査技師
日本輸血・細胞治療学会 輸血機能評価認定制度視察員
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