医療現場のいま 第一回 「がん」治療には、早期発見が最も有効です

関労ニュース
第一回「がん」治療には、早期発見が最も有効です
-まずはPET-CTによる健康診断を-

PET-CT写真

平成19年3月公開
(※ 取材対象者及び内容は公開当時のものです)

年間約50万人が「がん」と診断されています。
がんから命を守るには、早期発見がなによりも近道です。転移を起こさない段階で発見し、適切な治療をすれば、多くの場合は治すことができます。この早期発見の方法として、最も注目されているのがPET検査法です。
関西ろうさい病院は「地域がん診療連携拠点病院」(厚生労働省から認可)として、悪性腫瘍の治療など専門的で質の高いがん医療を提供するために2007年3月、PET-CT装置を導入しました。
以下ではPET検査について、当院の横川朋子・健康診断センター健康診断部長と両角隆一・核医学診断部部長に話を聞き、その内容をまとめています。

多くの「がん」を検出できるPET

多くの「がん」を検出できるPETPETという言葉をお聞きになったことがあるでしょうか?
がんの早期発見などに効力を発揮するとして、近年脚光を浴びている医療用検査装置です。陽電子放出断層撮影 (Positron Emission Tomography) の略称で、臓器の糖代謝を描出します。臓器の形状などを撮影するCT(コンピュータ断層撮影=Computed Tomography)と組み合わせることで、以前に比べてより正確な検査を可能にしました。

 

日本人の死亡原因の1位は「がん」

横川朋子・健康診断センター健康診断部長がんは、日本人の死亡原因の第1位です。
なかでも肺がんは、最も多くの人の命を奪っています。肺がんの罹患率及び死亡率は、ともに40歳代後半から増加し、以降年齢とともに高くなります。

PETはこの肺がんをはじめとし、大腸がん、40-50代の女性の罹患率が高い乳がん、女性特有の子宮がんや卵巣がんなどの発見を得意とします。しかも、検査画像から治療に向けての有効な情報を得ることができるのです。

 

一度の撮影でからだ全体を検査

一度の撮影でからだ全体を検査PETによるがん検査では、まずFDG(※)と呼ばれるブドウ糖の類似検査薬を注射します。その後40分から1時間程度安静にしたのち、カメラの下で30分程度横になって撮影を行います。

一度の撮影でほぼ全身をみることができ、総合的な診断に有用です。検査時間はおよそ3時間程度で、患者さんまたは健康診断受診者様への身体的な負担も少ないといえます。さらに、CT画像を同時に撮影できるため、PETとCTの両画像を重ね合わせることで、異常部位の発見やその様子を正確に知ることができます。
ただし、PET検査さえ受ければすべてのがんが検出できるわけではありません。FDGが集積しにくいがんや顕微鏡レベルの小さながんの診断は難しいものがあります。

※ FDGとは?

ブドウ糖に18-F(フッ素)という陽電子(ポジトロン)を放出する放射性同位元素を合成した薬剤です。他のレントゲン検査と同様に被爆しますが、その量は一般のCT検査と同程度とされています。正式にはfluoro‐deoxy‐glucoseno。

 

早い段階での健康チェックを

両角隆一・核医学診断部部長病気は重くなってからでは治療も困難になります。もちろん治療に対する身体的負担も大きくなります。そのため、近年は病気を未然に防ぐために予防医療が推進されており、生活習慣の改善はもちろんのこと、健康診断によるからだのチェックが重要となってきます。

関西ろうさい病院では、最新のPET-CTを導入し、人間ドックも随時行っておりますのでぜひお申し込み下さい。

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