肝癌

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肝癌

原発性肝細胞癌とは

肝癌には、肝細胞から発生する肝細胞癌と、胆管細胞から発生する胆管細胞癌(肝内胆管癌)からなる原発性肝癌と、他臓器癌からの転移性肝癌が有ります。また原発性肝癌の約9割は原発性肝細胞癌です。原発性肝細胞癌の約75%はB型肝炎ウイルス(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)の持続感染から発生します。

肝癌の診断と治療

「科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン」の肝細胞癌サーベイランスアルゴリズム・診断アルゴリズムに従い診断しています。更に「原発性肝癌取扱規約」に基づき進行度分類(図1)肝障害度(図2)を評価し、「科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン」の肝細胞癌治療アルゴリズム(図3)に基づき治療方針を決定しています。

図1 「原発性肝癌取扱規約」進行度分類
図1 「原発性肝癌取扱規約」進行度分類
図2 「原発性肝癌取扱規約」肝障害度
図2 「原発性肝癌取扱規約」肝障害度
図3 「科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン」肝細胞癌治療アルゴリズム
図3 「科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン」肝細胞癌治療アルゴリズム

関西労災病院では、原発性肝細胞癌に対する外科的切除を、肝障害度A・Bで、腫瘍が単発又は2-3個の場合に施行しています。肝臓は肋骨、横隔膜が形成する横隔膜穹窿部に、間膜(鎌状、冠状、左右三角)で固定されており、そのため肝臓の外科的切除の際には大きな皮膚切開を要してきました。腹腔鏡下肝切除術は米国フロリダ州で1993年にMichel Gagnerらにより施行されて以来、日本でも施行され(図4)、2000年に高度先進医療、2006年に先進医療として施行されて来ましたが、2010年4月から保険診療として腹腔鏡下肝部分切除術(肝外側区域切除術を含み、肝腫瘍に係るものに限る)として保険収載されました。現在は安全性を考慮し、腹腔鏡下肝切除術を術者として10例以上実施した経験を有する医師が従事する事が施設基準として求められています。関西労災病院では、武田が大阪大学消化器外科にて2008年から先進医療の認可のもと腹腔鏡下肝切除を施行しており、2010年6月施設基準を取得し腹腔鏡下肝部分切除術を施行しています。2014年の腹腔鏡下肝切除は年間76例でした。肝部分切除、肝外側区域切除はもちろん、脈管浸潤(門脈浸潤、下大静脈浸潤)の無い症例では、積極的に腹腔鏡下肝切除術を施行しています。

図4 「内視鏡外科学会誌」術式別症例数
zu1-04

腹腔鏡下肝切除術の術式には完全腹腔鏡下手術、腹腔鏡補助下手術、用手補助腹腔鏡手術がありますが、当院では完全腹腔鏡下手術を基本として施行しています。(図5図6)腹腔鏡下肝切除術では手術創が小さく(図7)術後の疼痛も少なく、平均術後在院日数は完全腹腔鏡下肝部分切除で11.9日、完全腹腔鏡下肝外側区域切除で9.8日でした。(2010年6月-2015年3月)

図5 腹腔鏡下肝切除術の実際
図5 腹腔鏡下肝切除術の実際
図6 腹腔鏡下肝切除術の実際

図6 腹腔鏡下肝切除術の実際

図7 完全腹腔鏡下肝切除術の手術創

図7 完全腹腔鏡下肝切除術の手術創

肝癌診療ガイドラインでは肝障害度A・Bで、腫瘍が単発又は2-3個までで有れば、肝切除が推奨されていますが、肝障害度Bで腫瘍径が2cm以内、腫瘍数が2-3個で腫瘍径が3cm以内であれば経皮的局所療法も推奨されています。低侵襲性で整容性に優れた腹腔鏡下肝切除は、経皮的局所療法の困難な、横隔膜下の腫瘍、肝表面の腫瘍、胆嚢や消化管に近接した腫瘍で、経皮的局所療法に代わる可能性を持った新しい治療法選択になると考えられます。

脈管浸潤(門脈浸潤、下大静脈浸潤)を伴う場合、胆道再建を伴う場合は、開腹下肝切除術が基本となります。門脈・下大静脈浸潤肝細胞癌では、門脈内腫瘍栓摘出、下大静脈腫瘍栓摘出を施行します。2010年5月-2013年7月に10例の下大静脈浸潤症例の手術を施行しています。高度脈管浸潤を伴う進行癌は、切除出来なければ極めて予後不良ですが、切除出来れば切除後長期生存例も有ります。関西労災病院では、高度脈管浸潤を伴う進行癌手術も施行しています。(図8図9

図8 下大静脈浸潤肝細胞癌症例
図8 下大静脈浸潤肝細胞癌症例
図9 下大静脈浸潤肝細胞癌手術
図9 下大静脈浸潤肝細胞癌手術

転移性肝癌の治療

転移性肝癌に対しては、原発癌の治療指針に従い切除が予後を改善する場合に切除を行っています。

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