脳神経外科

特色・方針

当科は日本脳神経外科学会の訓練施設(旧A項)に該当し、さらに脳卒中学会の訓練施設、脳血管内治療専門医訓練施設、国指定地域がん治療拠点病院として診療にあたっています。現在6名の専門医(指導医)を含む8名が、Totally minimum invasive neurosurgery (全人的低侵襲治療)をテーマとして日々診療をすすめています。また大阪大学医学部の脳神経外科臨床実習病院に指定されており、標準的で高度、安全確実な治療を優先しています。24時間脳外科医が常駐した急性期脳神経外科治療に特化した施設です。

<脳血管障害>

外科的治療、血管内治療、薬物治療、急性期リハビリテーションを集学的に超急性期から導入し、極めて専門性の高い治療を行っています。また、慢性期脳虚血疾患や未破裂脳動脈瘤(動静脈奇形)の治療も多い事が特徴の一つとなっています。具体的な治療としては、急性期脳梗塞に対するTPA投与、カテーテルを使った血栓除去、血栓溶解やPTA、慢性期脳虚血にたいする経皮的血管形成(ステント留置)やバイパス術、脳内血腫の内視鏡下血腫除去、動脈瘤にクリッピング術やコイル塞栓術、脳動静脈奇形にたいするガンマナイフ治療を施行しています。

バイプレーン・フラットパネル検出器を備えた最新血管撮影システムを導入しています

当院では次世代の血管撮影システム(Siemens社 Artis zee BA Twin)を導入しています。このシステムは、既存のシステムと異なり、X線を少ないステップで電気信号に変えてデジタルイメージに変換することができるフラットパネル検出器を備えています。従って既存のシステムと比較して、画像解像度が高く、病変解析機能が向上するだけでなく、X線利用効率の上昇により被曝量も大幅に低減されています。この進化は、ブラウン管テレビから液晶プラズマテレビへの変遷に似ており、より安全で効率の良い血管内治療に寄与すると考えられます。また本システムには、このフラットパネル検出器が2組搭載されており(バイプレーンシステム)、一回の造影剤注入で二方向からの画像を同時に取得できるため、患者さんの負担を大幅に低減させ、検査効率の改善にも大きく貢献すると考えられます。
この最新血管撮影システムの導入により、当院はより高度な血管内治療を安全に効率よく行える体制を整えています。クモ膜下出血や急性期脳梗塞、未破裂脳動脈瘤や内頸動脈狭窄症など、脳血管内治療についてお悩みの方は、脳神経外科外来にご相談ください。

急性期脳梗塞に対する機械的血栓回収療法

2005年におけるt-PA(組織プラスミノーゲン・アクチベータ)静注療法の保険承認は、長く閉ざされていた我が国の急性期脳梗塞治療の扉を開く革命的な出来事でした。t-PA静注療法は点滴をするだけで、脳への血液の流れを早期に回復させ、脳を障害から救うことができる画期的な治療法といえるでしょう。

ところが、このt-PA静注療法は、「夢の治療法」ではないことも事実です。例えば、t-PA静注療法を受けたとしても、治療後に発症前の生活レベルまで回復できる患者さんは30%程度であり、残りの70%程度には何らかの後遺症が残るといわれています。また、太い動脈(主幹動脈)に詰まった血栓を溶かす率が低いことも報告されており、t-PA静注療法が効かない(無効)患者さんへの対応は重要な問題です。

また、この治療の適応基準が、当初の「発症3時間以内」から2013年に「発症4時間半」まで拡大されたとはいえ、まだまだこの治療を受けることができない(適応外)患者さんが多いのも現実です。

上記したt-PA静注療法無効あるいは適応外の患者さんに対して、活路を拓く可能性がある治療法が2010年に我が国で認可された機械的血栓回収療法です。この治療法は、脳梗塞の原因となる血栓を、溶かすのではなく、血栓を絡め捕ったり、吸い取ったりして除去するものです。この治療法はt-PA静注療法無効あるいは適応外で、発症から8時間以内の脳梗塞患者さんが対象となります。

現在、国内ではいくつかの血栓回収用デバイスが認可されています。「Merci(メルシー)リトリーバーシステム」はデバイス先端のワイヤーに血栓を絡めて取り除くものです(図1)。「Penumbra(ペナンブラ)システム」は、ポンプで吸引することで血栓を取り除くシステムです(図2)。

図1
図1

図2
図2

2014年7月に満を持して我が国で保険認可されたのが、「ステントレトリバーシステム」です。このデバイスはステント型(筒型)の血栓回収装置で、ステントの網で効率よく血栓を圧しつけ絡めて取り除くものです。「Solitaire(ソリティア)システム」(図3)「Trevo(トレボ)システム」(図4)が認可され、既存のデバイスと比較してさらに優れた治療効果が期待されています。

図3
図3

図4
図4

これらのシステムは、使用する施設・術者が限定されて認可されております。当院は、上記したシステムを含め、我が国で使用可能な全ての急性期血行再建デバイスの使用認可を受けており、t-PA静注療法に加えて、これらのデバイスを駆使した急性期脳梗塞への取り組みを行っています。

脳動脈奇形・動静脈瘻

Onyxを始めとする塞栓物質を使ったカテーテル治療、ガンマナイフ、外科的切除の3方法を組み合わせて、早期社会復帰をかなえる治療を行っています。

ガンマナイフとは

主な医療設備・機器「ガンマナイフ」

脳動脈瘤に対するコイル塞栓術の進歩
<脳動脈瘤コイル塞栓術用ステントの使用認可について>

当院では、脳動脈瘤に対して、従来の開頭外科手術に加え、脳血管内治療を積極的に行っております。今回は、脳動脈瘤に対するコイル塞栓術の進歩につきましてご紹介いたします。
脳動脈瘤コイル塞栓術とは、細いカテーテルを用いて、血管の内部から脳動脈瘤を治す新しい治療法です。今までの開頭外科手術では治療が難しかった動脈瘤が、この「切らずに治す」新しい治療法によって治療できるようになってきました。
さて、脳動脈瘤に対してコイル塞栓術がうまくできるかどうかを決める一つの因子は、動脈瘤の形、とくに頚部の広さです。頚部の狭い動脈瘤に対しては、カテーテルを用いたコイル塞栓術が比較的容易に行えるのに対して、頚部の広い動脈瘤には、コイルが動脈瘤からはみ出してしまって留置が困難であるため、かつてはコイル塞栓術には不向きであるとされていました(図1)。
しかしながら近年になって、風船付きのカテーテルで頚部を覆いながらコイルを塞栓することにより(バルーンアシストテクニック:図2)、頚部の広い動脈瘤の治療も可能になってきています。
加えて2010年7月より、脳動脈瘤コイル塞栓用ステントというメッシュ状の金属の筒を用いて、そのメッシュ越しにコイル塞栓術を行う(ステントアシストテクニック:図3)が保険で認可され、さらに頚部の広い動脈瘤に対するコイル塞栓術も可能になってきました。
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当院では、脳動脈瘤コイル塞栓用ステントとして、2012年よりEnterprise VRD、2013年よりNeuroform EZの使用が認可されました。なお、脳動脈瘤コイル塞栓用ステントは、使用する施設・術者が限定されて認可されております。脳動脈瘤コイル塞栓用ステントについてもっと詳しく知りたい方は、ぜひ脳神経外科外来にご相談ください。

<脳腫瘍>

年齢に応じて、後遺症を出さない且つ治癒せしめる(全摘出)をバランス良く行っています。髄膜腫や神経鞘腫、下垂体腫瘍摘出術の完成度は高く、トップレベルの成績を上げていると自負しています。また、悪性脳腫瘍(原発性、転移性)の方の useful life をより高く且つ長く保つ事を心掛けています。放射線治療専門医と密に連携し、効率的な治療を行っています。非手術的治療として、最新のガンマナイフとIMRT 照射両者を活用した治療も稼働し、より高度の集学的治療が提供できます。転移性脳腫瘍のガンマナイフ治療に関しては、中枢神経死は 2% 以下に抑えられており、癌患者さんの治療に大いなる福音となっています。

2017年からは、原発性悪性脳腫瘍に対してレザフィリンを用いた光線力学療法が開始されます。

水頭症に関しても、最新のビデオスコープ内視鏡を使った第3脳室底開窓術や日本有数の症例数(累積800例以上)を誇る LPシャント術が適用されています。救急医と協力して重症頭部外傷や機能外科、小児脳外科にも対応します。

治療病院として、多くの脳外科スタッフと様々な専門医を抱え、ニューロナビゲーターや蛍光顕微鏡、ガンマナイフやカテーテル治療など最新の診断治療機器を駆使した高度の脳外科診療を求めて、他の脳外科病院からの紹介も多く、治療困難な疾患を(頭蓋底腫瘍、巨大脳動脈瘤や脳腫瘍、動静脈奇形や小児脳腫瘍等)多く扱っています。

診療実績(2016年度)

新入院患者数 1,002 人
外来新患数 1,171 人
入院患者数(年間在院ベース) 10,476 人
外来患者数(年間延べ) 6,794 人

手術件数

2016年(1~12月) 総数 689件

手術件数

臨床研究のテーマ

脳血管障害

  • 急性期脳虚血に対する血管内治療による血行再建
  • 脳内出血に対する内視鏡治療
  • 慢性期脳虚血に対する外科的治療

脳腫瘍

  • 外科的治療と放射線治療の併用治療
  • 最新の悪性脳腫瘍に対する遺伝子分類に基づく集学的治療
  • 良性脳腫瘍に対する全人的低侵襲治療の結果としての早期社会復帰

将来計画、当科の姿勢

阪神医療圏の神経外科治療を支える一翼を担うことを使命とします。人口170万人の人々に24時間365日神経外科治療を提供できる脳外科施設は数少ないため、各医療機関と連携しながら未来に向かって継続していくことを考えています。医療レベルを絶えず高く保ち、世界標準の治療が提供できるように日々修錬し、また次世代の良質な専門医師育成のために教育的診療も行っていきます。

脳神経外科学術業績 (PDFファイル)

スタッフ

瀧 琢有(たき たくゆう)

第2部長(兼)瀧 琢有

役職 副院長
脳神経外科部長
専門分野 脳神経外科
資格等 日本脳神経外科学会 専門医・指導医
日本脳卒中学会 専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医・暫定教育医
日本脳卒中の外科学会 技術指導医
日本神経内視鏡学会 技術認定医
日本医師会認定 産業医
医学博士
緩和ケア研修会 修了

森 鑑二(もり かんじ)

第二脳神経外科部長(兼):森 鑑二

役職 第二脳神経外科部長
専門分野 脳腫瘍
資格等 日本脳神経外科学会 専門医・指導医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
医学博士
緩和ケア研修会 修了

豊田 真吾(とよた しんご)

脳神経外科部長:豊田 真吾

役職 第三脳神経外科部長
専門分野 脳神経外科
資格等 日本脳神経外科学会 専門医・指導医
日本脳血管内治療学会 専門医・指導医
日本脳卒中学会 専門医
日本頭痛学会 専門医・指導医
日本神経内視鏡学会 技術認定医
日本脳卒中の外科学会 技術指導医
医学博士

熊谷 哲也(くまがい てつや)

役職 副部長
専門分野 脳血管障害
資格等 日本脳神経外科学会 専門医・指導医
日本脳卒中学会 専門医
日本脳血管内治療学会 専門医
医学博士

後藤 哲(ごとう てつ)

役職 副部長
専門分野 脳神経外科・機能神経外科
資格等 日本脳神経外科学会 専門医・指導医
日本脳卒中学会 専門医
医学博士
緩和ケア研修会 修了

小林 真紀(こばやし まき)

役職 医員
専門分野 機能的脳神経外科
資格等 日本脳神経外科学会 専門医

レジデント 竹中 朋文(たけなか ともふみ)

      黒田 秀樹(くろだ ひでき)

名誉院長  奥 謙(おく ゆずる)

      早川 徹(はやかわ とおる)

診療顧問  山口 武典(やまぐち たけのり)

 

» 脳神経外科 外来担当表

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