泌尿器科

充実したスタッフによる高度でやさしい医療

膀胱電子スコープ

▲(写真1) 膀胱電子スコープ

当科のスタッフは、3名の日本泌尿器科学会の専門医・指導医、1名の専門医および後期臨床研修医2名の計6人体制で、若い活力が期待できる布陣となっております。

泌尿器科領域で腎移植関係以外の疾患全てに対応可能で、副腎腫瘍に対する診断・手術療法および尿失禁や膀胱瘤の治療など他科との境界領域にも積極的に取り組んでいます。

外来では、特に男性の患者さんにとり痛みが強い膀胱鏡検査に膀胱電子スコープ(写真1)を用いることにより苦痛を軽減し、精密な膀胱内の観察と画像のファイリング化を達成しています。また、2012年よりハイビジョンシステムにバージョンアップし、NBIによる観察も可能となり病変の見落しの確率がより低くなりました。

治療法の選択に際しては、治療しない選択肢を含め出来る限りの情報を患者さんに提供して一緒に考えていく姿勢をモットーとしています。そして、どのような治療に関しても患者さんのQOLを重視した内視鏡的治療を主軸とした診療体系を構築し、今までは開腹手術で行われていたもののほとんどを腹腔鏡下手術で行うようになりました。例えば通常20~30cmもの皮膚切開を要する腎や副腎摘除術でも、直径が5〜10mmの3つのポート孔を3〜4箇所のみで手術可能となり、出血量も100ml以下で術後1日目から歩行および経口摂取が可能であるため非常に低侵襲となっています。

部長の川端は本邦における泌尿器腹腔鏡下手術のパイオニアの1人で、現在まで1,700例以上の経験を有し、他施設への手術指導、学会主催の講習会等の講師に招請されています。また、2005年より開始された「腹腔鏡技術認定制度」にて認定され審査委員も務め、田口部長、楠田部長および奥野医師も認定を受けております。

最近増加している尿失禁に対しては、日本排尿機能学会の認定する排尿機能検査士の資格を外来看護師3名が取得しており、女性ならではの視点から検査・治療に関わっていただいております。特に女性の尿失禁患者さんにとり受診して頂きやすい体制となっております。

手術支援ロボットによる腹腔鏡下手術のお知らせ

手術支援ロボット腹腔鏡下腎部分切除術を開始しました

2016年4月より小径腎癌に対するロボット支援手術が保険適応となりました。当院でも十分な準備を行った上でロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術を開始し、2017年3月までに15例に施行し良好な成績を得ています。本手術は手術支援ロボット(da Vinci Si)の特徴である良好な視認性と人間の手を越える巧緻性を活かして、従来の腹腔鏡下手術を上回る成績が期待されるものです。

腫瘍の状態や手術の既往などから本手術の適応とならない場合もありますので、詳しくは担当医にご相談ください。

手術支援ロボットによる前立腺全摘除術について

davinci

この度、当院でも手術支援ロボットda Vinci(ダヴィンチ)を導入し、2014年11月からロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術(robotic-assisted laparoscopic radical prostatectomy、以下RALP)を開始しました。

患者さんの肉体的、精神的負担の軽減につながる医療の低侵襲化が各科領域で進んでいます。泌尿器科領域の疾患に対する手術手技においても、術後のより早い回復や疼痛の軽減、入院期間の短縮などに結びつく手術の低侵襲化が推奨され、様々な術式が普及しています。

この様な観点から、当科では局所限局性前立腺癌に対する根治的治療である腹腔鏡下前立腺全摘除術に早くから取り組んできました。そして今回、更なる発展として本術式の導入に至りました。

ロボット支援手術とは

もちろんロボット支援手術といってもロボットが独自に手術を行うわけではありません。医師がロボット操作用の台であるコンソールから、3次元立体画像を見ながら手術用の鉗子類を装着したロボットアームを操作して手術を行います。(図1、2)

ペイシェントカート

図1 ロボットアームに鉗子類を装着したペイシェントカート

手術風景

図2 術者コンソール(写真奥)からロボットアームをコントロール(当院での手術風景)

腹部に小さな穴を開け、炭酸ガスでお腹を膨らませた上で内視鏡や鉗子類を入れて手術を行うという点では、当科でも早くから取り組んできた腹腔鏡手術と基本的には同じです。

当院が導入したda Vinci Si system(ダヴィンチSiシステム)では、高倍率の拡大立体視野がハイビジョンで得られ、内視鏡カメラやロボットアームに装着された鉗子類は術者のコントロール下に置かれます。この7つの関節を有する鉗子は、関節の540度回転など人間の手をはるかに超えた動きが可能で、手先の震えが伝わらない手振れ補正機能があり、安全で精密な手術が可能となります(図3)。

鉗子類は術者の指示を忠実に再現

図3 鉗子類は術者の指示を忠実に再現

また、本Siシステムからシミュレーションシステムが搭載されました。実際の手術手技を模したトレーニングが可能で、医療技術の向上にも大きく貢献します。(図4)

レーニング

図4 実際に手術を行っている感覚でトレーニングすることができ、教育面での質的向上が図れる

ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術(RALP)

局所限局性前立腺癌に対する治療ですが、基本的に75歳未満で局所限局性前立腺癌(リンパ節転移や遠隔転移を認めないもの)と判断された場合は、全身状態を検討した上で、一般的に多くのケースで前立腺全摘除術や放射線照射といった根治性を目指した治療法が選択されます。

1999年から日本国内にも導入され、当科でも早くから取り組んできた腹腔鏡下前立腺全摘除術は、低侵襲かつ安定した手術成績を得られる一方で、熟練された高度な技術を要す術式です。RALPはこの様な問題点を解決する術式として開発されました。2009年時点で米国では前立腺全摘除術のおよそ85%以上がRALPで行われています。本邦でも、2015年10月現在215台のロボットが導入されるに至り(米国に次いで第2位の保有台数です)、RALPが急速に広まって来ています。

RALPは、我々がこれまで取り組んできた腹腔鏡下前立腺全摘術と同様に

  1. 術中の出血が少ない
  2. 傷口が小さく、術後の痛みが少ない
  3. 術後の回復が早い
  4. 機能温存に優れる
  5. 合併症リスクの低下

などの利点があり、特に機能温存の点では腹腔鏡下前立腺摘除術以上の成績が期待されます。

おわりに

高齢化社会の進行や食生活の変化を背景に、前立腺癌患者も増加の傾向にあります。2010年の国内の性別癌罹患率では胃癌、肺癌、大腸癌に続き、前立腺癌が男性第4位の癌でした。そして、2020年には肺癌に続き第2位の癌になることが予測されています。

RALPの導入により、手術に伴う安全性および生活の質(QOL)の改善のみならず、制癌性の点でも成績が向上し、患者さん方の利益に繋がることが期待されます。なお、2017年3月までに120症例に対して施行し、全例安全に行えております。詳しくは、泌尿器科外来までお問い合わせください。

3D腹腔鏡による手術

2013年末より3D腹腔鏡システムを導入しました。偏光レンズ眼鏡をかけることにより、従来平面的にしか見えていなかった腹腔鏡の術野が、通常の立体的な視野で観察できるようになっています。縫合操作が非常に容易に行えるようになる、鉗子操作がより正確なものとなる等の立体視のメリットにより、患者さんに更に優しい手術を提供できるようになりました。

腹腔鏡手術

グリーンライトレーザーによる光選択的前立腺蒸散術(PVP)を開始しました

光選択的前立腺蒸散術(PVP)の実際

▲AMS社製 GreenLight®HPSレーザーシステム

前立腺肥大症(BPH)と光選択的前立腺蒸散術(PVP)について

BPHは、中年以上の男性が罹患する最も多い疾患の一つです。軽症や中等症の場合には主に薬物療法を行いますが、重症の場合には外科的治療が選択されることが多く、現在は経尿道的前立腺切除術(TUR-P)が多く行なわれています。しかしTUR-Pは、出血などいくつかの合併症の問題があります。このような背景から、『より患者さんに優しい治療を』 とのコンセプトのもと、GreenLightレーザー療法 — 光選択的前立腺蒸散術(PVP)–が開発され、2011年7月より保険適応を受けました。

この新しい手術法は出血が少なく、効率の良い組織の蒸散(蒸発)と凝固が可能であり、BPHに対する最も安全で有効な低侵襲療法であると考えられています。 BPHがあり、外科的治療で排尿状態の改善が期待できると考えられる場合に良い適応です。他の治療法と比べて、出血が非常に少ない方法であるため、高齢や脳血管障害、心疾患などの理由で従来の手術を受け難い場合にも、比較的安全に施行できる可能性があります。

光選択的前立腺蒸散術(PVP)の実際と治療成績

光選択的前立腺蒸散術(PVP)の実際

麻酔は全身麻酔もしくは腰椎麻酔で、手術は経尿道的に行います。側射型レーザープローブで、レーザーを前立腺組織にあて、組織を蒸散させて肥大した部分を消滅させます。輸血の心配はほとんどなく、手術時間は肥大の程度により変わりますが、おおよそ70分~90分です。
尿道カテーテル抜去のタイミングは術後の状態により判断しますが、ほとんどの場合手術翌日には抜去可能で、入院期間は他の治療法より短くなります。
なお、本手術は欧米では広く行われており、既に50万人以上の良好な治療実績があります。

PVPの長所

  • 手術中や術後の出血が少ない
  • 術後に尿道カテーテルが早く(1~2日)抜ける
  • 尿道カテーテルを抜くと、尿の出かたが速やかに回復する
  • 術後の排尿時の痛みが少ない
  • 性機能への悪影響が少ない
  • 入院期間が短く社会復帰が早い

おわりに

PVPは欧米では広く普及しており、全世界で現在1000台以上が稼働しており、日本で早くに導入された他病院での治療成績も非常に良好と報告されています。
前立腺肥大症による排尿障害でお困りの方は、可能な限り紹介状を持参の上、泌尿器科外来にご相談下さい。

【地域医療室】TEL:06-6416-1785

当院のPVPについての記事をメディア情報コーナーに掲載しています。こちらもご覧ください。

 

腹腔鏡下小切開(副腎、腎、前立腺に対する)手術の保険適応について

2009年3月1日に腹腔鏡下小切開手術の施設基準を取得いたしました。従来の皮膚切開より格段に小さな切開創での手術が可能になっております。前立腺悪性腫瘍手術、腎部分切除術、腎摘除術、腎(尿管)悪性腫瘍手術、副腎摘出術の5術式に対して適応されました。

(『腹腔鏡下小切開手術』の施設基準取得 平成21年3月1日)

→詳細はこちら(PDFファイル 132KB)

腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術保険適応について

2006年10月1日から当院泌尿器科では、健康保険で腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術を受けていただくことができるようになっております。なお、この手術法は兵庫県内で当院を含め5施設のみが施設基準を満たしております。
(『腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術』の施設基準取得 平成18年10月1日)

→詳細はこちら(PDFファイル 30KB)

腹腔鏡下手術の成績(平成16年4月~平成28年12月。全1,032例)

副腎摘除術 76例、平均手術時間202分、平均出血量42ml
根治的腎摘除術 181例、平均手術時間287分、平均出血量84ml
腎尿管全摘除術 141例、平均手術時間390分、平均出血量204ml
腎盂形成術 65例、平均手術時間275分、平均出血量23ml
単純腎摘除術 34例、平均手術時間308分、平均出血量151ml
腎部分切除術 94例、平均手術時間274分、平均出血量98ml
前立腺全摘除術 271例、平均手術時間303分、平均出血量563ml(尿を含む)
ロボット支援
前立腺全摘除術
109例、平均手術時間306分、平均出血量105ml(尿を含む)
ロボット支援
腎部分切除術
11例、平均手術時間278分、平均出血量35ml
その他 55例
(精索静脈瘤手術9例、後腹膜腫瘍摘除術10例、腎嚢胞壁切除術5例、尿膜管摘除4例など)
合併症 全例において輸血例なし。根治的腎摘除術で開腹術へ移行が1例、前立腺全摘除術で尿管損傷2例、尿道直腸瘻1例

尿失禁治療装置について

ウロマスター

▲(写真2)
 干渉低周波による尿失禁治療器
(ウロマスター)

 2009年4月より低周波刺激による尿失禁治療(写真2)が可能となりました。前立腺の術後尿失禁や特に女性の尿失禁に対して効果があります。外来での治療が可能で、保険適応されています。

尿流量測定装置について

フロースカイ

▲(写真3)
 通常のトイレ型の尿流量測定装置
(フロースカイ)

 当科では、実際の排尿の状態を調べるために尿流量測定という検査を行っています。今までは検査のためには特別な機械に向かって排尿することが必要でしたが、このたび普通のトイレで検査が可能となった画期的な装置(写真3)(TOTO社製)を導入しました。患者さんが家庭におられる感覚で検査を受けていただけるようになりました。

レントゲン透視装置について

リソトリプターD

▲(写真4) レントゲン透視装置

2007年3月にレントゲン透視装置(写真4)を東芝製デジタルX線テレビ装置ZEXIRAに更新しました。西日本で最初に当院に導入された本機種の特徴は、フルデジタル化されたフラットパネル検出器により非常に精密な画像が得られるというものです。また、従来機種では構造上不可能であったレントゲン透視台への乗り降りのスムーズさが備わり、患者さんに優しく安心していただけるものになりました。

ESWL(体外衝撃波結石破砕)装置について

リソトリプターD

▲(写真5) ESWL新機種
(ドルニエリソトリプターD)

2005年12月に体外衝撃波尿路結石破砕装置(写真5)をドイツドルニエメディカル社製の「リソトリプターD」に更新しました。

新機種の特徴として、今まで必要であった硬膜外麻酔が不要になり、さらに低侵襲下での治療が可能となりました。また、本機種は衝撃波発生装置自体が回転することで、さまざまな位置の結石を治療することが可能となり(今までは下部尿管結石は治療出来ませんでした)、レントゲンに写らない結石も超音波による探査が可能となったため治療ができ、衝撃波の強さも多段階に調節できるため、痛みに弱い方にも対応できるようになりました。 上記のように従来の機種より治療中の疼痛が少ない上に破砕力に優れており、治療回数がほぼ半減しております。

下図のように衝撃波発生装置自体が回転・移動することにより、さまざまな位置の結石を探査・破砕することが可能となりました。

衝撃波発生装置

▲自在に回転する衝撃波発生装置

衝撃波発生装置

平成28年患者統計(平成28年1~12月)

外来新患 1,330人(男性933人、女性397人)
入院 1,091人(男性907人、女性184人)
平均在院患者数 21.4人
平均在院日数 7.2日
手術件数 931件
(開放手術47件、内視鏡手術638件、ロボットを含む腹腔鏡手術124件など)
体外衝撃波結石破砕術
(ESWL)
106件

主な手術の内訳(平成28年1月〜12月)

開創手術

開創手術

腹腔鏡手術

腹腔鏡手術

内視鏡手術

内視鏡手術

泌尿器科臨床成績

スタッフ

川端 岳(かわばた がく)

部長:川端 岳

役職 部長
卒業年 昭和55年
資格等 神戸大学臨床教授
日本泌尿器科学会 指導医・専門医
日本内視鏡外科学会 評議員
日本泌尿器内視鏡学会 評議員
日本性感染症学会 評議員
泌尿器腹腔鏡技術認定医
日本内分泌・甲状腺外科学会 専門医
医学博士
緩和ケア研修会 修了

2008-2017年度ベストドクター認定

第24回日本Endourology・ESWL学会オリンパス賞受賞

グリーンライトレーザートレーナー認定

手術支援ロボット「ダヴィンチ」術者認定

泌尿器ロボット支援手術プロクター認定

田口 功(たぐち いさお)

第3部長:田口 功

役職 第二部長
卒業年 平成3年
資格等 日本泌尿器科学会 指導医・専門医
日本臨床腫瘍学会 暫定指導医
泌尿器腹腔鏡技術認定医
医学博士
緩和ケア研修会 修了

手術支援ロボット「ダヴィンチ」術者認定

泌尿器ロボット支援手術プロクター認定

楠田 雄司(くすだ ゆうじ)

第3部長:楠田 雄司

役職 第三部長
卒業年 平成9年
資格等 日本泌尿器科学会 指導医・専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
泌尿器腹腔鏡技術認定医
医学博士
緩和ケア研修会 修了

手術支援ロボット「ダヴィンチ」術者認定

奥野 優人(おくの まさと)

役職 医員
卒業年 平成18年
資格等 日本泌尿器科学会 専門医
日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医
泌尿器腹腔鏡技術認定医
産業医選任資格
緩和ケア研修会 修了

藤本 卓也(ふじもと たくや)

役職 レジデント
卒業年 平成25年

植木 秀登(うえき ひでと)

役職 レジデント
卒業年 平成26年
資格等 緩和ケア研修会 修了
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